Alexandra Savior、Emily Yacina……個性豊かで魅力的な女性シンガーの歌声を味わえる5枚

・アレクサンドラ・セイヴィアー『The Archer』
・ケイト・デイヴィス『Trophy』
・エミリー・ヤシーナ『Remember the Silver』
・アナ・フランゴ・エレトリコ『Little Eletric Chicken Hear』
・The Innocence Mission『See You Tomorrow』

アレクサンドラ・セイヴィアー『The Archer』

アレクサンドラ・セイヴィアー『The Archer』

 アレクサンドラ・セイヴィアーはポートランド出身のシンガーソングライター。17歳の時、YouTubeに歌う映像をあげたところ、コートニ・ラブが絶賛して注目を集めて卒業後にコロムビアと契約。1stアルバム『Belladonna of Sadness』のプロデュースをアレックス・ターナーが手掛けるなど恵まれたデビューを飾った。そんな彼女の新作『The Archer』は、インディーレーベル<30th Century Records>に移籍してのリリース。前作はレーベルと方向性が折り合わず、アルバムをリリースされるまでに紆余曲折あったらしく、それが移籍の理由だったのだろう。本作では、前作で垣間見せた50~60年代のジャズやポップスを思わせるノスタルジックでノワールな世界が全開。その映像的なサウンドが、バニラの香りが漂うような甘美な歌声を引き立てていて、その妖しい雰囲気はデヴィッド・リンチの映画にも通じるところも。ちなみにタイトル曲はクリスマスに恋人にプレゼントした曲だとか。羨ましい。

Alexandra Savior – The Archer

ケイト・デイヴィス『Trophy』

ケイト・デイヴィス『Trophy』

 アレクサンドラ・セイヴィアーと同じくポートランド出身のケイト・デイヴィスは、子供の頃からクラシックを学び、NYの音楽学校で学んだ才女。ジャズのカバーアルバムをリリースして注目を集め、ジャズの名門レーベル<Concord>と契約を交わしたものの、結局、アルバムは発表されなかった。心機一転、インディーからリリースした初のオリジナルアルバムが『Trophy』だ。アルバム制作中、ケイトは憧れていたシンガーソングライター、シャロン・ヴァン・エッテンと仲良くなり、彼女の新作『Remind Me Tomorrow』で1曲共作しているが、本作ではシャロンに通じるオルタナティヴなフォークロックを聴かせる。エレキギターを激しく掻き鳴らす一方で、端正なアレンジや音作りにジャズ/クラシックを学んだキャリアが反映されている。そして、独特の節回しで歌い上げるキュートで凛とした歌声の表現力もなかなかのもの。確かにジャズレーベルから出すのは難しい音だけど、インディーポップ好きにはジャストな1枚。

Kate Davis – Trophy (Official Video)

エミリー・ヤシーナ『Remember the Silver』

エミリー・ヤシーナ『Remember the Silver』

 フェラデルフィア出身で現在はNYを拠点にしているエミリー・ヤシーナ。これまで彼女は(サンディ) アレックス・Gのアルバムにボーカルで参加して密かに注目を集めていた。そんななかでリリースされる新作『Remember the Silver』は彼女にとって2作目のアルバムだが、アレックス・G効果で注目度もアップ。エミリーもアレックス・Gと同じように宅録型のシンガーソングライターだが、プロダクションは丁寧に作り上げられてアレンジも行き届いている。そのうえで、ほんのりとサイケデリックな空気が漂っているのはアレックス・Gと通じるところ。多重録音したハーモニーと甘いメロディーでドリーミーなムードを醸し出しながらも、ダンサブルなビートが曲に躍動感を生み出してポップに聴かせる。そして、淡々としながらも柔らかな歌声は浮遊感があって気持ち良く、気がついたら何度もリピートしてしまう不思議な魅力があるアルバムだ。

Emily Yacina- Gleaming (Official Video)

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