マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」、チャート最高位記録 ネット上の“クリスマス施策”が功を奏す
マライア・キャリーはクリスマスソングの女王と称すべき強さを誇ります。米では2011年からクリスマスソングのみのチャート(Holiday 100)がスタートしていますが、2019年はこれまでの42週中通算37週もの首位を独占しているのが「All I Want For Christmas Is You」なのです。そしてマライアはこの曲をさらに押し上げる施策を行い、注目をさらに高めています。
ハロウィンから一夜明けた11月1日、マライアはクリスマスモードに突入したことを知らせる動画をTwitterに公開。同日リリースした『Merry Christmas』の25周年記念盤の宣伝というより、「It’s time…Woh!」という歓喜の声はまるでマライアの季節到来! と宣言しているかのようです。さらに12月1日には、クリスマスまでをカウントダウンする特設サイト「25 Days of Mariah Christmas」を公開。アドベントカレンダーを模したこの企画からは、1996年に東京ドームで披露した「All I Want For Christmas Is You」の映像も公開されています。
「All I Want For Christmas Is You」にちなんだ企画が多数用意される中、Amazon Music公式YouTubeチャンネルでも10分強のドキュメンタリーが制作され、今月11日に公開。この曲の誕生秘話やチャートの動向について触れられています。日本語字幕でも確認可能です。
『Mariah Carey is Christmas』という直球のタイトルには驚かされますが、チャートでの好成績や日本を含む世界中での「All I Want For Christmas Is You」の浸透度の高さからすれば、大袈裟ではないかもしれません。あとは米ビルボードで、クリスマスソング史上2曲目の首位を獲得するだけと言えるでしょう。
そしてついに、「All I Want For Christmas Is You」は12月21日付米ビルボードソングスチャートを制しました。マライア・キャリーにとって19曲目の首位獲得となり、ビートルズの持つ最多記録にあと1曲と迫りました。またクリスマスソングがピークを迎える2020年1月4日付で首位を獲得したならば、マライアは1990年代以降4つのディケイドで首位を獲得する初の歌手となります。
ちなみに、米ビルボードソングスチャートにおいては昔からのクリスマスソングが有利であり、今世紀リリースの作品で今年1月5日付にて50位以内に登場したのはケリー・クラークソン「Underneath The Tree」(2013年)の44位のみ。その意味では、冒頭に紹介した今年の新曲よりも昔から愛されてきた曲が有利かもしれませんが、ドキュメンタリーで語られているように「All I Want For Christmas Is You」人気再燃のきっかけが『ラブ・アクチュアリー』(2003年日本公開は翌年)だったことを踏まえれば、リリースから数年経って人気に火が付く曲が今後出てくるかもしれません。
■Kei
チャート愛好家。青森県弘前市のFMアップルウェーブ『わがままWAVE It's Cool!』(毎週日曜17時)スタッフのひとり(DJネームはブレストコナカ)。音楽/ラジオに関するブログ【face it】を日々更新中