森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.175
秦 基博、Nulbarich、緑黄色社会、milet……歌の魅力を追求し続けるアーティストの最新作
恋愛マンガの名手・いくえみ綾の原作を波留の主演でドラマ化した『G線上のあなたと私』(TBS系)の主題歌として制作された緑黄色社会の「sabotage」は、ギターを軸にしたバンドサウンド、鮮やかなストリングス、(ドラマのストーリーとも重なる)起伏に富んだメロディを同居させたアッパーチューン。ポジティブな意志をたたえながら、これまで以上にポップに振り切ったこの曲の中心にあるのはもちろん、長屋晴子(Gt/Vo)のボーカルだ。“自分らしく生きたい”という願いを気持ちよく解放するエモーショナルな歌は、シンガーとしての新たな境地を感じさせる。どこまでもダイナミックに広がる歌声は、緑黄色社会のポップネスをさらに増幅させると同時に、このバンドの知名度を大きく上げることになりそうだ。
1st EP『inside you EP』が数多くの音楽配信サイトで1位を獲得。ドラマ『偽装不倫』主題歌を収録した3rd EP『us』もヒットを記録するなど、今年もっとも注目すべきニューカマーとなったmiletから、早くも4th EP『Drown / You & I』が届けられた。TVアニメ『ヴィンランド・サガ』(NHK総合)のエンディングテーマとしても話題の「Drown」は、エキゾチックな雰囲気の旋律、アーシーな手触りの力強いビートが高揚感を生み出すミディアムナンバー。そして「You & I」は、心地よいギターのフレーズ、軽快なエレクトロトラックが心に残るアッパーチューン。楽曲のムードを直観的に捉えながら、豊かな感情表現を反映させる彼女のボーカルは、作品を重ねるごとに奥行きを増している。一瞬でmiletの声だとわかる記名性の高さも彼女の魅力だ。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。