松本孝弘はギタリストとしてどう磨かれた? BABYMETAL楽曲など盛んなソロ活動を機に考察

 先頃リリースされたBABYMETALのニューアルバム『METAL GALAXY』に収録されている「DA DA DANCE」は、小室哲哉プロデュースによる“TKサウンド”の旋風が巻き起こった90年代を思い出させる、ユーロビート調にのせたメタルチューンだ。BABYMETALといえば、保守的でもあったメタルシーンに新風をもたらしてきたが、まだまだ攻めの姿勢は崩さない。当時、多くのメタルファンが良く思っていなかったであろうサウンドを今、メタルで昇華させているのだから、なんだか凝り固まってしまった音楽ファンへのアンチテーゼのようにも思えてくる。

 80年代後半からのバンドブームから一変して、TVドラマ主題歌やCMタイアップ、カラオケの普及などによって隆盛を極めた90年代の“CDバブル”とも呼ばれた時代は、ロックファンにとってみれば少々面白くない側面を持っていた時代でもある。ビーイングブームからのエイベックスブーム、とくに“小室ファミリー”と呼ばれた小室哲哉プロデュースの楽曲群は、次々とヒットチャートを独占していく反面で、楽曲評価以前にその制作されていくスピードの速さに量産型の商業的なにおいを感じ、“流行”として音楽が消費されていくような危機感を覚えていた音楽ファンも多かったのである。ただ、当時小室が用いたのは、1980年代初頭に世界的に流行したHi-NRG(ハイエナジー、ディスコやクラブで人気の高かったダンスミュージックの一種)をポップスに持ち込んだイギリスの音楽プロデューサーチーム、Stock Aitken Watermanの手法であり、後年になって振り返ってみれば、のちのDTM(デスクトップミュージック)に繋がるスタジオワークスの効率化の先駆け、といえるものだったわけだが。

 そんなことを思い出した「DA DA DANCE」を、テクニカルなギターでハードに彩っているのは、Tak Matsumoto。言わずとしれたB’zのギタリスト、松本孝弘である。90年代のCDバブルを牽引したビーイング所属であり、かつては小室とともに音楽を作っていたギタリストがこのような音楽性に取り組んでいるのは、非常に興味深い。

『Tak Matsumoto Tour 2016 -The Voyage- at 日本武道館』(Blu-ray)

 松本孝弘はB’zを中心とした“ハードロックのギタリスト”の顔の他に、スタイルにとらわれない活動も盛んだ。2004年にはギタリストの枠を超えた弦楽器奏者のレーベル<House Of Strings>を立ち上げるなど、精力的なソロ活動を行っている。2010年にリリースした、ジャズギタリスト、ラリー・カールトンとの共作『TAKE YOUR PICK』が第53回グラミー賞「最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム」を受賞、一躍その名を世界に知らしめる。もっとも、遡れば1999年に、ジミー・ペイジ、スラッシュ、ジョー・ペリー、エース・フレーリーに続いて世界で5人目、日本人として初のレス・ポール・シグネチャ・アーティストとしてギブソンと契約を交わしたことも忘れてはならない。

B’z松本グラミー受賞作 Larry Carlton & Tak Matsumoto 「JAZZY BULLETS」

 2016年にGLAYのTAKUROのインストゥルメンタルソロアルバム『Journey without a map』をプロデュース。2017年にはハワイアン音楽の革新的なミュージシャン、ダニエル・ホーとの共作『Electric Island, Acoustic Sea』をリリース。今年10月24日には木梨憲武の配信EP『木梨ファンク~NORI NORI NO-RI~』に参加など、ジャズからハワイアン、小気味良いファンクまで、その多彩さはとどまることを知らない。

木梨憲武「GG STAND UP!! feat. 松本孝弘」Music Video (Short Ver.)

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