STEREO DIVE FOUNDATIONが語るプロジェクトへの意識と再スタート「SDFとしての色を作る」

STEREO DIVE FOUNDATIONが語るプロジェクトへの意識と再スタート「SDFとしての色を作る」

 STEREO DIVE FOUNDATION(以下、SDF)が、10月23日にニューシングル『Chronos』をリリースした。本作は、TVアニメ『食戟のソーマ 神ノ皿』(TOKYO MXほか)オープニング主題歌に起こ用されており、リリースとしては3年9カ月ぶりとなる。作詞・作曲・編曲家として活動するR・O・NのサウンドメイキングプロジェクトであるSDFについて、今回、R・O・N本人にインタビュー。タイアップの意向と作家性を織り交ぜた楽曲の組み立て方などの制作の話題を中心に、本作を再スタートとして捉えているというSDFのこれからについても聞いた。(編集部)

“本気歌”を歌って探るメロディの骨格

ーーSTEREO DIVE FOUNDATION(以下、SDF)としては実に3年9カ月ぶりのリリースとなりますね。

R・O・N:そうですね。その間は基本的に楽曲提供や劇伴の制作をしていたりと、色々なことをやりながら日々を過ごしていました。あっという間に3年9カ月も経っていたんだなという感覚です。

ーーR・O・Nさんは他アーティストに詞曲を提供するクリエイターであり、劇伴作家でもあります。その中においてSDFはどんな意味合いを持つプロジェクトなんでしょうか?

R・O・N:そもそもSDFは「自分で歌うプロジェクトをやってみたら?」という提案をきっかけにスタートしたものなんですよ。そういう意味では、ちょっとおもしろい感覚で向き合えているところがあるんですよね。その感覚を言葉にするならば、求められたことに対して僕が歌うというスタイルでしっかり応えることを大事にしているプロジェクトだと思います。

ーーこれまでリリースされたシングルはすべてアニメとのタイアップで作られたものですからね。そこが大きな軸になっていると。求められていることに応えつつも、そこにR・O・Nとしての色を意識的に盛り込もうと思うことはないですか?

R・O・N:そこは、長年培ってきたアレンジに対する方法論や、作曲や歌のクセみたいなところが自然と出ているんだろうなとは思います。たとえば、アニメの放送では使われない2番以降に自分好みの要素を入れがちなところとか。楽曲提供の作詞では書かないようなことも、SDFの曲の2番以降には書いてしまうこともあるような気がします。

ーーなるほど。クリエイターとしての自我もそこには込められていると。シーンのトレンドやご自身のブームが自然と反映することもありますか?

R・O・N:前回までの3作品(『AXIS』『Renegade』『Genesis』)は、わりとトレンドを意識した要素を入れていた気はします。それはきっと自分の中の流行りでもあったからだと思うのですが、今回の曲は「バンドサウンドで」という先方からのオーダーが明確にあったので、それにしっかり応える形で楽曲制作をしました。

ーーそこは求められるものに応えることが第一だから。

R・O・N:そうそう。とは言え、単純なバンドサウンドだけの曲にはしたくないなっていう気持ちはありました。プロジェクトをより盛り上げていくために、SDFに対しての色付けはしっかりしたいと思っているので。

ーー始動から約6年で見えたSDFならではのカラーはどんなものなのでしょうか?

R・O・N:それはなかなか難しい質問ですよね。これまでSDFとして作った曲はインストを含めて十数曲なので、その中で独自の色を作るのは、まだ難しいです。それに、今回のタイミングからSDFに関わるスタッフ周りが一新されたところがあったから、自分としては「ここからまた新しいチーム皆で再スタートしていこう」みたいな気持ちだったりもするんですよね。

ーー初のワンマンライブも決定しましたし、リロードのタイミングなのかもしれないですね。

R・O・N:そうですね。ここからまた勢いよく活動することで、SDFならではの色も作っていけたら最高だなって思っています。

ーーではあらためてシングルのお話をお聞きしましょう。ニューシングルの表題曲「Chronos」は放送中のTVアニメ『食戟のソーマ 神ノ皿』OP主題歌として書き下ろされたものですね。先ほどのお話にあったように、今回は疾走感のあるバンドサウンドになっています。

R・O・N:サウンドに関しては、“バトル感”“青春”“疾走感”というオーダーがありましたね。その上でどういう方向にするかをスタッフと話し合ったときに、ピアノを入れてみようか、とか色々話しました。

ーーそこから具体的にはどう作っていきましたか?

R・O・N:この曲は最初にイントロの音を探しましたね。雑踏っぽいSEを探し、その後にBPMを決めました。アニメの場合、89秒の尺で使われることがほとんどなので、BPMを決めるのが一番大事。で、BPMを決めるとある程度のセクション感が見えてくるので、構成を考えながら本気歌を歌ってメロディの骨格を探っていった感じです。

ーー本気歌というのは?

R・O・N:僕の場合、メロディを考えるときは鼻歌じゃダメなんですよ。思い切り声を出す本気歌じゃないとイメージを膨らますことができないので。だから出来上がる頃には声がかれていることもよくありますね。しかもいろんなメロを探りながら歌ってるから、ダサかったり下手だったりする瞬間もあるわけで。歌モノの作曲をしてる姿だけはちょっと見られたくないかもしれない(笑)。

ーー本気歌の段階で歌詞はもうついてるんですか?

R・O・N:運がいいと歌詞がついていることもあります。よく言われる“降りてくる”っていう状態ですよね。なかなかそういうことは起こらないので、もし降りてきたとしたら超ラッキー。今回は降りてこなかったので(笑)、まずはでたらめ英語的な感じで歌っておいて、メロが固まった後でハメました。

ーー先ほど「単なるバンドサウンドにはしたくなかった」と話していましたが、アレンジに関してはどんな部分にこだわりましたか?

R・O・N:デジタル要素を盛り込むことと、あと波形編集ですかね。音ネタを切ったり貼ったり、ちょっと逆再生にしてみたり。サビが気持ちよく広がっていくバンドサウンドではあるけど、どこか普通な感じではないなって感じてもらえたら素敵ですね。

ーーDTM的なアプローチを絶妙な塩梅で使いこなすのはSDFのひとつのカラーであるかもしれないですね。

R・O・N:凝り性なので、そういう要素を入れるのはけっこう好きですね。バンドではない僕1人のプロジェクトだからこそできることをやりたいなと思っています。

ーーアニメで使われる89秒をしっかり意識した曲作りができるのも、これまでアニメ曲を多数手がけ続けてきたR・O・Nさんの強みだと思います。

R・O・N:美味しいセクションをどう組み立てて89秒に収めていくかっていうパズルですよね。そこに関しては確かに慣れてきているので、そこまで意識しなくてもうまいこと89秒に収まることもあります。逆に言うと、日本製の音楽においては美味しい部分を切り取ると案外89秒になってるものが多いからおもしろいですね。そういう意味ではアニメのオープニングが89秒なのは理にかなっているような気もします。

ーーそうなると89秒はもはや縛りではない?

R・O・N:そうですね。たまに45秒とか60秒の場合があって、それは間違いなく縛りですけど(笑)。89秒あればいろんなことができるなと思います。

ーー今回の「Chronos」では、1番と2番でBメロが違っています。1番がかなり攻めたラップのようなパートになっているのは、そこをオープニングに使ってもらうことを想定してのことなわけですよね。

R・O・N:そこが先方から求められた“バトル感”を意識した部分で。より作品に寄り添える形を目指した結果です。で、逆にアニメで使われない2番に関してはちょっとメロウな感じにしちゃおうっていう。

ーー2番はR・O・Nさんの自我を出してもいいところだから。

R・O・N:そうそう。歌詞も含めて、「我儘をちょっと盛り込みたいな」と思っています。CDで聴いてくれる人へのお楽しみになる部分でもありますし。

ーー歌詞は“時間”がひとつのテーマになっていますね。

R・O・N:今回はタイトルから先に考えました。ワンワードにしたかったから、何がいいかなと探っていく中で、時間の神でもある“Chronos”というワードがふと浮かんで。内容的にも大きなテーマを描こうと思ってたからちょうどいいなと。そこから作品に寄り添いながら歌詞にしていきました。1番のBメロからサビにかけては、“勝利”“友情”“痛みを与えるつもりはない”といった先方からいただいたワードを存分に盛り込んでいった感じです。“BOUT”というワードのように原作の漫画から引用させてもらったものもありますね。

ーー時は巻き戻せないものだから、自分を信じて前へと踏み出せ……そんなメッセージはアニメと切り離してもリスナーの心に響くものであるように思います。

R・O・N:2番では僕自身が思っていることを書いたりもしているので、そういう受け止め方をしてもらえたらいいなっていう思いはあります。ただ、そこをムリに意識しすぎるとダメだと思うんですよ。総合的に楽曲として上手く書けていれば、自動的にそういう聴こえ方をするものだと思うし。そこに関してはSDFを押し付けるつもりはないんですよね。そこをやりすぎると、作品のタイアップ曲としての意味みたいなものが失われてしまうと思いますし。

ーーボーカルにはどんな思いを乗せましたか?

R・O・N:この曲に関しては、基本的に本気歌の流れで歌ったテイクを使っていて。ただ、サウンドとのノリのバランスや自分なりに満足のいく気持ち良さを出すために、多少歌い直した部分もあります。全編に渡ってやかましい曲ではあるんで(笑)、勢い多めの歌になったとは思いますね。

ーー曲に合わせてどんな歌の表現をしていくかで迷うことはないですか?

R・O・N:僕は楽曲のすべてを1人で作っているので、不確定な要素がないまま最後まで進むんですよ。普段仮歌を録る時も、そのまま世に出ても構わない状態で歌うようにしているので「どう歌おうか?」みたいな部分で悩むことはないんですよね。そういう作り方が普通のことというか、僕の日常なんです。もちろんその日常の歌をいいと言ってくれる人がいるのであれば、それに応えるためによりいいものを作っていきたいなっていう気持ちはあります。今回、歌い直した部分があるっていうのはそういうことで、自分名義の曲で世に出す意識と責任感を持っていたからかなと思います。

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