THE PINBALLS『WIZARD』リベンジ果たした新宿LOFTワンマン 希望に満ちた新しい旅の始まり

THE PINBALLS、ワンマンレポ

 胸を強く打つパートを経て、バンドは再び「重さのない虹」からフルスロットルに。曲中では古川の合図にあわせて、フロアの全員が大きくジャンプ。すべてを解放したバンドとオーディエンスは、その後も「COME ON」「アダムの肋骨」で熱狂の渦を作り上げていく。しかし、古川は「こんなもんじゃないでしょ? 俺らもこんなもんじゃないよ!」と叫んで観客を挑発。さらに熱を帯びた状態で「carnival come」を演奏すると、ギターソロに突入した中屋がオーディエンスの頭上に横たわって激しいプレイを続ける。「七転八倒のブルース」でさらにギアが一段上がり、本編ラストナンバー「蝙蝠と聖レオンハルト」ではフロアからの大合唱で最高潮に達し、大満足のクライマックスを迎えた。

 アンコールでは古川が「7月12日のイベントで伝えるつもりでした」と、イベントタイトルと同名のニューシングル『WIZARD』が11月6日にリリースされることをアナウンス。そして、シングルにはこの日のライブテイクが収められることも伝えられると、フロアからは喜びの大歓声が沸き起こった。さらに、うれしいサプライズとしてそのシングルに収録される新曲「WIZARD」を初披露。THE PINBALLSの新たなストーリーが刻まれたこのドラマチックな楽曲を前に、観客は笑みを浮かべながら踊り楽しんだ。そのまま正真正銘のラストナンバー「銀河の風」に突入すると、バンドはその場にいる者すべてを巻き込んで最高の一体感を生み出し、7月12日の“リベンジ”を見事に達成させた。曲のラストでは古川がガッツポーズを取ってみせたが、それくらいこの日のワンマンライブは彼にとって、バンドにとって、そしてあの場にいたすべてのオーディエンスにとって最高のひとときだった。

 すでに8月からライブ活動は再開していたものの、このワンマンライブを通じてTHE PINBALLSは再び「THE PINBALLS、ここにあり!」と高らかに宣言した。それはある意味ではリベンジであり、ある意味では禊だったのかもしれない。しかし、そこにはネガティブな要素は一切なかったし、むしろまばゆいまでの光しか感じられなかった。だって、ニューシングル『WIZARD』を携え、希望に満ちた彼らの新しい旅はここから始まるのだから。

(撮影=白石達也)

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

■セットリスト
THE PINBALLSワンマンライブ
2019年9月29日(日)新宿LOFT
01. 片目のウィリー
02. ママに捧ぐ
03. DAWN
04. 劇場支配人のテーマ
05. CRACK
06. sugar sweet
07. HORRORS OF THE NIGHT
08. Voo Doo
09. FREAKS' SHOW
10. ワンダーソング
11. DUSK
12. 重さのない虹
13. COME ON
14. アダムの肋骨
15. carnival come
16. 七転八倒のブルース
17. 蝙蝠と聖レオンハルト
<アンコール>
18. WIZARD(新曲)
19. 銀河の風

THE PINBALLS オフィシャルサイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる