眩暈SIREN×しづ『spinoid』の世界観はリスナーに何を与える? 主題歌「滲む錆色」MVから考察

眩暈SIREN『滲む錆色/紫陽花』レビュー

 「滲む錆色」の話題に終始してしまったが、今回のシングル『滲む錆色/紫陽花』はもうひとつの両A面曲「紫陽花」や、カップリング曲「九月一日」も聴き応えのある楽曲だ。「紫陽花」は今年3月から1分動画メディア「WATCHY」で公開されたショートムービー『終わらない世界』の主題歌。『終わらない世界』自体が眩暈SIRENの楽曲や歌詞の世界観をもとに脚本・映像化した作品であり、その親和性に関しては言うまでもないだろう。

 もう1曲の「九月一日」も、今年9月1日にバンドの地元・九州を含むラジオ番組にて初解禁された楽曲で、“子どもの自殺が一番多い日”と言われる夏休み明けの「9月1日問題」をテーマにしたもの。昨今この問題はさまざまなメディアで取り上げられており、今年はNHK Eテレにて8月31日夜から日付の変わった9月1日未明まで『#8月31日の夜に。~2019年夏休み ぼくの日記帳~』と題した番組が10代に向けて生放送されたことも記憶に新しい。眩暈SIRENはこの曲とともに、生きることを選択した者/死ぬことを選択した者に向けて「僕らの曲はずっとあなたの隣にいます」とメッセージを添えている。この曲は日常生活でさまざまな悩みを抱える10代はもちろん、かつて10代だった大人たちにも響くものがあるのではないだろうか。

 筆者はかつて、眩暈SIRENの楽曲に対して「同じ状況下にいるリスナーにとっては(たとえネガティブな表現であっても)ポジティブに響くのではないだろうか」と評したことがある(※参照:“ネガティブの共有”から生まれる新たなシーン 眩暈SIRENら若手アーティストの台頭から紐解く)。今回のシングルに収められた3曲も聴き手の背中を優しく押してくれるようなタイプとは異なるものの、常にリスナーの隣にいてくれるという意味では間違いなく“生きていくうえでの手助け”になるはずだ。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

■リリース情報

眩暈SIREN 両A面シングル『滲む錆色/紫陽花』
発売日:2019年10月9日(水)
初回生産限定盤(CD+DVD)
¥2,200(税込)SRCL-11245~46

通常盤(CD) 
¥1,320(税込)SRCL-11247
※初回・通常共通:完全招待制ライブ『音が孤独を覆うまで Special Live 』応募券封入

<CD収録内容>※初回・通常盤共通
1.滲む錆色
2.紫陽花
3.九月一日

<DVD収録内容>※初回生産限定盤のみ
2019.02.10『囚人のジレンマ TOUR2019』
@ 渋谷 WWW X ライブ映像
1.ジェンガ
2.HAKU
3.偽物の宴
4.空気より透明な
5.夕立ち

■ライブ情報
音が孤独を覆うまで Special Live
開催場所:品川教会グローリア・チャペル
開催日程:10月18日(土)Open  17:00 Start 18:00
CD購入者限定、完全招待制ライブ
CD封入抽選受付期間:2019年10月8日(火)12:00~10月14日(月・祝)23:59
※1人2枚まで応募可能
※公演当日CD封入リーフレットを必ずご持参ください。
リーフレットご持参頂けない場合はご入場出来かねます。
予めご了承頂けますよう宜しくお願い致します。

<当日ご持参頂きたいもの>
1)入場券(チケット)
2)CD封入リーフレット
3)申し込み者のみID (身分証明書)が必要です。
※同行者の方はID CHECKの必要はございませんが
「申込者の方と必ず同時にご入場ください」

■関連リンク
眩暈SIRENオフィシャルサイト

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