眉村ちあき、リリスク、アンジュルム……TIFは“音楽”と“美しい存在”に出会える場所に
4.ハコイリ♡ムスメとRYUTist
9月に卒業を控えた「ぽにょ」こと我妻桃実さんがハコイリ♡ムスメ(ハコムス)として出演する最後のTIF。総勢38名が夏焼雅先輩と競演した『Hello! Project Special Stage・Berryz工房大好きスペシャル!』に参加し、一方でプロレスとアームレスリングで優勝ベルトを手に筋肉美を見せつける。パワフルな顔もあれば、正統派清純アイドルの顔も見せるぽにょさん。避暑地の森を歩く姿が目に浮かぶミモザの刺繍のワンピース姿や、ほとんど水着かと思うほどの露出度ながら、ハコムスの清楚パワーで全く下品に見えない真っ白なレースの衣装が印象的だ。
7月28日にぽにょさんがリーダーを引退し、吉田万葉さんがリーダー、井上姫月さんがサブリーダーという体制になったばかり。しっかり者で、ずっとハコムスをまとめてきていたぽにょさんが、卒業までの約2カ月間は「リーダー」としてではなく、一人のアイドルとして残り少ない時間を目一杯楽しく過ごせているとしたら嬉しい。
FESTIVAL STAGEでは、PENGUIN DISCレーベルメイトのRYUTistとのコラボユニット柳♡箱。黄昏時、段々と涼しくなり終わりゆく夏を思って淋しくなる時間帯に、12名揃っての「なかよし」では、ステージ端から端までいっぱいに使っての大縄跳びと花いちもんめを取り入れたダンスを披露。最高にピースフルな空気に包まれ、彼女たちの歌う「LOVE&PEACE」がそこにあった。
5.amiinA × sora tob sakana
熱くて暑い、蒸し焼きの3日間の終わり、汗と土埃にまみれ疲れ切った体で上がったのは、天国に一番近いSKY STAGE。夕暮れ時のマジックアワーにトリを飾るのは、純白の衣装に着替えてのオサカナ(sora tob sakana)とamiinAのコラボレーション。
たった10分間のライブ、お互いの曲を1曲ずつとMCかと思いきや、まずamiinA二人だけのダンスインスト曲「Valkyrie」(amiinA)で空気を引き締め始まりの気持ちを一気に高める。日が沈み蜜柑色から花紺青へのグラデーションは、この二組のために設えられた舞台装置のようだ。「夜空を全部」(オサカナ)では、amiinAの感情を爆発させた歌唱が、オサカナの幼さを残しながらもクールな歌と重なって新しい響きを感じる。アイドル界のアンセムとなった「Canvas」(amiinA)では、〈白紙のページに 鉛筆だけ手にして〉と歌い、少女たちがページを順々に開いてゆくこのたった一回、たった数分のために創られた特別な振付が披露された。その時その場所にしかない美しいものを確かに受け取り、心の宝石箱をいっぱいにして、キラキラ光る観覧車を横目に帰路についた。
■松村早希子
1982年東京生まれ東京育ち。この世のすべての美女が大好き。
<雑誌連載>
『Rocket』コラム「きみは89番目の星座」
『TRASH-UP!!』コラム「東京アイドル標本箱」