BTS、「Lights」に込められたファンへのメッセージ 過去の“ファンソング”からの繋がりと変化

 また、“光”と“つながり”は過去の日本オリジナル曲でもよく表れていた言葉だ。『WAKE UP』収録の「THE STARS」では〈あの輝く星のように/光放つのさ消えぬ様に〉、『YOUTH』収録の「Wishing on a star」では〈思うほどきっと届く〉と“今はまだ届かない憧れの象徴”として描かれていた「星」や「光」だが、今作では自分自身、そしてお互いそのものが光であるという表現に変わってきている。彼らの歴史と照らしあわせてその世界観の変遷を味わうことの出来るキーワードのひとつでもあるだろう。そして世界のどこからでも見ることが出来るのが「星」であり、「光」にはどんな距離でも一瞬で届くという性質もある。ラストの〈どんなに離れていても届いてる〉という歌詞は、最初の日本オリジナル曲「FOR YOU」の〈例え遠くにいても2人同じ空見てるよ〉〈離れていても心と心は繋がっている〉とも通じる内容だろう。

BTS (防弾少年団) 'FOR YOU' Official MV

 今では世界規模の巨大なファンドムを持ち、世界中を飛び回ってパフォーマンスをするようになったBTS。最初の海外活動の拠点となった日本でのオリジナル楽曲のテーマは、物理的に離れていても心の中ではいつも繋がっている、というものだった。その後の人気上昇により活動範囲は欧米や南米圏にまでさらに広がり、結果的に本国のファンが実際に会える頻度も年々減ってきてしまっている。今回の日本オリジナルシングルは世界同時リリースだが、根底にある“物理的な距離が私たちを分けるものではない”というメッセージは、国や人種は関係なく全てのファンに向けられたものと言えるのかもしれない。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。

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