嵐、シングル楽曲に見る“挑戦”の記録 ベストアルバムから選ぶ珠玉の10曲

「truth」

 大野智主演ドラマ『魔王』(TBS系)の主題歌として当時話題を集め、嵐のリスナー層をぐっと押し広げたきっかけとなった楽曲。それまでのリリース曲と一線を画す、ストリングスの効いた美しく耽美的な世界観がインパクト大だ。ヒット曲も数多い嵐の楽曲の中でも、いつまでも異彩を放つ、嵐史上最高にシリアスな楽曲だ。

「ワイルド アット ハート」

 松本主演ドラマ『ラッキーセブン』(フジテレビ系)の主題歌。ロカビリー調のサウンドとスタンドマイクを用いた振り付けが印象的な楽曲だ。切なくも明るいパワフルな歌詞には、嵐の楽曲としては珍しい〈俺〉という1人称が使われている。仲間への無償の愛、そして嵐なりのダンディズムが詰め込まれた1曲だ。

「愛を叫べ」

 「ワイルド アット ハート」に近しい雰囲気の、ロカビリー調のサウンドがインパクト大な嵐流ウエディングソング。一般的には新郎から新婦へのウエディングソングが多いが、「友達から新婦へ」という目線から描かれる歌詞が斬新だ。寂しさや切なさを笑顔で吹き飛ばす、等身大のウエディングソングである。

「君のうた」

 相葉雅紀主演のドラマ『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日系)の主題歌。嵐の最新シングルでもあるこの楽曲は、活動休止後それぞれの道を歩きはじめる嵐自身に歌っているかのようにもとれる歌詞が印象的だ。今後の彼らの道を示す道標のような、優しく切ないラブソングだ。

 嵐の楽曲のすべてに通底しているのは、センチメンタルな青春ソングに定評がある一方、ヒップホップ調のサウンドをジャニーズ楽曲にいち早く取り入れるなど、常に進化し続ける彼らのチャレンジ精神だ。いわば、これらの楽曲たちは、嵐の挑戦の記録そのものなのである。

 嵐は常に音楽へ真摯に向き合い、その姿や歌声を通して挑戦することの素晴らしさをリスナーに教え続けてくれている。活動休止後、しばらくは嵐としてのリリースはなくなってしまう。それはとても寂しいことだが、それぞれの挑戦を乗り越え、再び集結した彼らは、きっとまた、今までにない歌を私たちに聴かせてくれるはずだ。誰よりも挑戦を繰り返しながら、20年間を歩んできた5人なのだから。

■五十嵐文章(いがらし ふみあき)
音楽ライター。主に邦楽ロックについて関心が強く、「rockinon. com」「UtaTen」などの音楽情報メディアにレビュー/ライブレポート/コラムなどを掲載。noteにて個人の趣味全開のエッセイなども執筆中。ジャニーズでは嵐が好き。
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