sumika、ヒゲダン、ミセスに続くポップバンドの新星 緑黄色社会 『幸せ -EP-』に感じる“独創性”

緑黄色社会のポップス性を新EPから紐解く

 Mrs. GREEN APPLEの6thシングルとしてリリースされた表題曲「Love me, Love you」(2018年2月)は、ホーンセクションを交えた華やかなサウンド、マーティング系のリズム、歌詞の内容とリンクしたアレンジやフレーズなどをふんだんに取り入れた、まるでミュージカルのような楽曲。“愛の答えはきっと目の前にあるはず”というメッセージを放つ歌詞、どこまでもドラマチックに展開するメロディラインなど、恋のキラキラ感、ドキドキ感を増幅してくれるようなナンバーだ。全体を覆う煌びやかなエンターテインメント性を含め、ミセスの良さが全面に押し出された楽曲と言えるだろう。

Mrs. GREEN APPLE - Love me, Love you

 そして緑黄色社会の「幸せ」。懐かしさを伴ったシンセのイントロから始まるこの曲は、緑黄色社会にとって初となる、バラードのリード曲。バンドのなかには2年ほど前から存在していて、満を持してのリリースとなった。まず印象に残るのは、憂いや不安、その先にあるはずの幸福をダイレクトに伝える旋律。メロディの起伏、ニュアンスだけで“そこに込められた感情”を伝える長屋のボーカルも魅力的だ。

緑黄色社会 『幸せ』

 タイトル通り、「幸せ」をまっすぐに描いた歌詞も心に残る。これまではネガティブな雰囲気の歌詞を書くことが多かった長屋だが、この曲で彼女は、好きな人との人生を長いスパンで捉え、“イヤなところも含めて、すべてを好きだと言いたい”という心のあり方を描いているのだ。また、いわゆる“Aメロ、Bメロ、サビ”というセオリーをあえて崩した楽曲構成、グルーヴ感のあるベース、エッジの効いたギターなど、メンバー個々のプレイヤーとしてのセンスが活かされていることにも注目してほしい。特にボーカルラインを際立たせるピアノのカウンターメロディは絶品だ。

 『幸せ -EP-』にはその他、メンバー全員の個性がぶつかり合うアンサンブルと〈信じた私が馬鹿でした〉からはじまる怒りと葛藤に溢れた歌が響く「逆転」、ファンクとAORが溶け合うアレンジとともに、やるせない恋心を描いた「ひとりごと」、“何にもしたくない休日”をテーマにしたアップチューン「にちようび」を収録。温かい思いがあふれた名バラード「幸せ」、そして『幸せ -EP-』のリリースをきっかけにして、間口の広さと音楽的な独創性を持つ緑黄色社会のポップスは、さらに多くの音楽ファンに訴求することになりそうだ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

■リリース情報
緑黄色社会『幸せ -EP-』
発売日:5月29日(水)
価格:【初回生産限定盤】2,800円(税込)/CD+DVD
【通常盤(初回仕様)】1,300円(税込)/CD

<CD収録曲>
1. 幸せ
2. 逆転
3. ひとりごと
4. にちようび

<【初回生産限定盤】DVD収録内容>
『ライブツアー 溢れた音の行方 selected from 2018.12.21 マイナビBLITZ赤坂』
01. Alice
02. 恋って
03. Bitter
04. またね
05. サボテン
06. regret
07. 君が望む世界
08. Never Come Back
09. あのころ見た光
10. 始まりの歌

緑黄色社会「幸せ」
iTunesレコチョクMoraSpotifyApple MusicLINE Musicほか
各音楽ストリーミングサービスにて配信中。

■関連リンク
緑黄色社会 オフィシャルサイト
緑黄色社会 オフィシャルTwitter
緑黄色社会 オフィシャルInstagram

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