PENGUIN RESEARCHのライブが支持を集める理由 開催中のツアーを機に考察 

PENGUIN RESEARCHライブ支持集める理由

 過去のインタビュー記事によると、堀江は、kemuの楽曲はフィクションをベースにしているが、PENGUIN RESEARCHの楽曲では“今ここで生きてる人間”のことを歌詞に書いているとのこと(参考)。また、初ワンマン直後にメンバーが「クリエイターからアーティストになれた」「ようやく“バンド”になった」という発言をしている通り(参考)、これまではバンド以外の形式で音楽活動をしていた人たちだからこそ、彼らは“バンドとして何を伝えるべきか”という点に自覚的であるように思える。そんなバンドにとって、歌詞の内容を的確に伝えることに長けたボーカリストの存在は、かなり重要なのではないだろうか。

 ライブ中、生田が「初っ端から(みんな)全力で、俺らどうしようかと思ったよ!」と観客のことを讃えたり、「こんな最高なライブができるお前らと俺らなら何だってできるし、どこへだっていけると思うんですよ!」と投げていたりしていたのも印象に残っている。PENGUIN RESEARCHのライブでは、観客も一緒になって歌ったり積極的に歓声を上げていたりしていて、とにかく熱量が凄まじいのだが、その熱量を引き出すうえで生田による熱い言葉が担う役割は大きい。経歴上、生田は他4人と比べてステージ経験が浅い。しかし、バンドとして盛んにツアーを重ねてきたことにより、フロントマンとしての存在感は確立されてきているのだ。

 ライブでは「決闘」も披露された。「決闘」は各プレイヤーの成熟を感じさせる重厚なハードロックサウンドが土台になっている一方、デジタルサウンドや多種のビートが取り入れられていて、このバンドならではのミクスチャー感もある。イントロやサビでは、メンバーから「ちょっと目を離すとすぐツーバスを踏む」とまで言われているメタル育ちの新保が勢いよくツーバスを踏んでいるほか、終盤にはド派手なギターソロも控えている。各サビの後半ではシンガロングにうってつけなパートがあるのだが、刺激的なバンドサウンドに鼓舞されたのか、観客の歌声はかなり大きい。この時点ではシングルのリリース前だったはずだが、それにもかかわらず、ライブのハイライトと言えるほどの盛り上がりが生まれたのだった。

 また、「決闘」をきっかけにバンドがさらに活気づき、それ以降の演奏がエネルギッシュになっていったことも特筆しておきたい。この曲を着火剤にしながらPENGUIN RESEARCHのライブはますます進化していくことだろう。

 年内唯一のワンマンツアーは、関西方面では自身最大規模にあたる会場・なんばHATCHを含む全国8カ所をまわったあと、ツアーファイナルとなる8月10日の横浜文化体育館公演『Penguin Go a Road 2019 FINAL「横浜決闘」』で締め括られる。ライブバンドとしての実力をメキメキと強化させているこのバンドの“今”を、ぜひ見逃さないでほしい。

(文=蜂須賀ちなみ/写真=Viola Kam (V’z Twinkle))

■リリース情報
『決闘』
2019年5月22日(水)発売
【初回生産限定盤】
¥1,852+税
<収録内容>
DISC 1
1. 決闘
2. 逆襲
3. boyhood (Live at TSUTAYA O-EAST “Penguin Go a Road 2018-19”)

DISC 2
1. 決闘 (Music Video)
2. 方位磁針
3. songwriter
4. シニバショダンス

【通常盤】¥1,296+税
<収録曲>
1. 決闘
2. 逆襲
3. boyhood (Live at TSUTAYA O-EAST “Penguin Go a Road 2018-19”)

■ツアー情報
PENGUIN RESEARCH LIVE TOUR
『Penguin Go a Road 2019 「なぜ決闘なのか」』
5月3日(金・祝)柏PALOOZA
5月25日(土)宇都宮HEAVEN’S ROCK
5月26日(日)高崎club FLEEZ
6月1日(土)福岡BEAT STATION 
6月2日(日)なんばHATCH
6月21日(金)仙台Darwin
6月23日(日)札幌KRAPS HALL
6月30日(日)名古屋ボトムライン

■ライブ情報
PENGUIN RESEARCH LIVE
『Penguin Go a Road 2019 FINAL 「横浜決闘」』
8月10日(土)横浜文化体育館

PENGUIN RESEARCH オフィシャルHP

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