Red Velvet、LOOΠΔら手がける若手プロデュースチーム MonoTree 大衆音楽の王道守る美学

 そしてMonoTreeがプロデュース力を100パーセント発揮したのが、ガールズグループ・ELRIS(エリス)の「Pow Pow」だ。インパクトのあるハードなギターリフではじまり、渋谷系のサウンドへ、そしてエレクトロポップになったかと思うと開放感のあるサビが登場する、といった具合にかなり凝っている。グループのキュートな魅力を損なわない程度に実験的な試みをしつつも、思わず口ずさんでしまう親しみやすさ。これこそがMonoTreeの最も得意とするところだろう。

[MV] ELRIS(엘리스) _ Pow Pow

 比較的ガールズグループに関わることが多いチームだが、最近は男性アーティストとのコラボレーションも目立つ。今年3月にリリースされたSUPER JUNIOR-RYEOWOOKの「桜の花が咲く頃」も、実はMonoTreeの作品である。彼ららしい甘いメロディが印象的なポップバラードで、J-POPを意識したポップなアレンジにプロの技が光る。

SUPER JUNIOR-RYEOWOOK / JAPAN 1st SINGLE『桜の花が咲く頃』試聴映像

 SweetuneからMonoTreeへ。そこで引き継がれたのは「曲はメロディが何よりも大切」ということではないだろうか。AメロからBメロへ進み、盛り上がりがピークをむかえたあたりでインパクトのあるサビに突入するという大衆音楽の王道をしっかり守る。両チームの数々の楽曲は、それが作り手の良心だと強く主張しているようだ。

 トラップ、トロピカルハウス、ムーンバートンとトレンドがころころと変わっていく状況においても、ブレない美意識。K-POPが海外で人気を獲得するために必須の要素ではないのかもしれないが、韓国の音楽シーンを長い間見続けてきた者としては、消えずにずっと残ってほしいと思っている。

■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』や『ジャズ批評』など専門誌を中心に寄稿。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著もいくつか。LOVE FM『Kore“an”Night』にレギュラーで出演中。

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