LOOΠΔやIZ*ONEも……K-POPシーン最前線で活躍する映像集団、DigipediがMVで表現する世界
コンポーザー、アレンジャー、プロデューサー、プレイヤーなど、音楽関連の仕事は数多い。中でもミュージックビデオ(MV)の制作は、歌手の人気や評価を左右するものとして楽曲制作と同様に重要視されている。今やそれは世界のどこの国でも同じ状況だろう。
通常は既存のアーティストイメージを尊重しながら演出・構成することが多いMVだが、オーソドックスな発想を嫌い、独自の美意識で仕上げる映像作家も少なからずいる。しかしながら、そんな稀有な存在は商業的なフィールドにいるのか――。この問いに即座に「イエス」と答える者が韓国にはいる。10年以上もK-POPシーンの最前線で活躍するDigipedi(デジペディ)というチームだ。
Digipediの特徴をワンワードで表現すると「奇抜」。代表作のひとつ、Orange Caramel「Catallena」(2014年)が最も分かりやすい例かもしれない。お高くとまったごう慢な女性を題材にした懐メロ風のダンスポップで、歌詞から連想されるアイテムや演出は一切なし。メンバーらは寿司ネタに扮して陽気に歌い踊る、ただそれだけだ。ストーリーは特になく、メッセージもない。とにかくカラフルでコミカルな映像がテンポ良く流れていく。だからこそ視聴者は気軽に繰り返し見てしまう。動画配信サイトが音楽を聴くための主なツールとなった現代にはまった手法とも言える。
彼らは曲のタイトルから感じるものだけで制作することもある。その場合もストーリーやメッセージを特に意識することはあまりない。ひたすらスタイリッシュな映像が続くのみ。OH MY GIRLの「WINDY DAY」(2016年)やHEIZEの「Shut Up & Groove(Feat. Dean) 」(同年)などが代表格で、いずれの映像も余韻はそれほど残らないものの、観たあとの満足感が相当ある。このあたりもチームが得意とするところだ。