Night Tempoの“オフィシャルFuture Funk”がもたらす、ポップカルチャーへの批評的な視座

 こうしたFuture Funkの技巧をもっとも堪能できるのは3曲目、「Get My Love(Night Tempo Showa Groove Mix)」だろう。こちらはサビが原形が不明瞭になる寸前までカットアップされていて、エディットの快楽と原曲へのリスペクトという相反するふたつの要素が同居するFuture Funkのスリリングな醍醐味が味わえる。

 いまやFuture Funkはvaporwaveという本流とは異なる道を歩んでいる面が強く、とりわけvaporwaveの特徴とされてきたポップカルチャーへの批評的な距離が、Future Funkにおいてはポップカルチャーへの無邪気な愛や憧憬に置き換わっていることに違和感を覚える愛好家も少なくないだろう。しかし、ポップカルチャーの歴史的な蓄積を現在、ひいては未来へと丁寧に接続してゆくNight Tempoの今回の仕事は、vaporwaveとはまた異なる批評的な視座をもたらしてくれるはずだ。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる