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「Plastic Love」世界的ヒットに“3つの文脈” tofubeatsカバーリリースを機に解説

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 DJでプロデューサーのtofubeatsが、竹内まりやの名曲「Plastic Love」(1984年のアルバム『Variety』収録)のカバーバージョンをリリースした。2018年のアルバム『RUN』ではボーカリストとしての存在感も示した彼が、自らボーカルをとった意欲作だ。

 ドラムマシンのTR-707やシンセベース、そして少しチープなピアノをフィーチャーしたハウス寄りのアレンジは、まさにtofubeats印。レトロで簡素なサウンドながら響きはとても現代的でダンサブルでもある。「ロボ声」的なオートチューンは控えめだが、かわりにボコーダーがアウトロを彩る。原曲へのリスペクトとダンスミュージックの文脈とが違和感なく結びついている一曲となった。

 一方、「Plastic Love」という楽曲そのものも、ある評論家が「2018年に海外で最もヒットした邦楽」と呼ぶほどの注目を集めている(参考:THE JAPAN TIMES)。ここ半年は国内のさまざまな媒体でもこの異例の「ヒット」が驚きをもって取り上げられており、2018年末のラジオ番組『山下達郎のサンデー・ソングブック』(TOKYO FM)で山下達郎・竹内まりや両人からこの現象への言及があったほど。再評価の波は、台湾出身のソウルシンガー・9m88や、東京出身の若手R&Bシンガー・Friday Night Plansなどによる相次ぐカバーバージョンのリリースに至り、そしてついに、シティポップへの偏愛を公言してきたtofubeatsが満を持しての登場というわけだ。

9m88- ‘Plastic Love’ Cover Version (Original Song by Mariya Takeuchi)

 ヒットの震源地はYouTubeだ。著作権者の申し立てで削除されてしまったものの、YouTubeに違法にアップロードされていた同曲の動画は2,400万回以上の再生数を誇った。世界的に見ればマイナーな日本人シンガーの楽曲がこれほど再生された例も他に見当たらない。

 この動画の影響力は再生数だけでは計り知れない。たとえばGoogleで「Plastic Love」を画像検索してみると、こんな結果が出てくる。

Google画像検索での「Plastic Love」結果

 竹内まりや本人のポートレイトがほとんどだが、これは先述した動画に添えられていたものと同一だ。これは同曲収録の『Variety』ではなく、別のシングル「Sweetest Music」のジャケットからとられたもので、「Plastic Love」と関係がない。にもかかわらずこんな結果が出るのは、ひとえに件の動画の影響力による。

 なぜこれほどまでに「Plastic Love」が聴かれたのか。よく言及されるのは、YouTubeのおすすめアルゴリズムだ。YouTubeを利用していて、関連動画の欄になぜかいつも同じ動画が表示される、といった経験はないだろうか。ずっと表示されるので好奇心に負けて再生してしまったという人も少なくないはず。「Plastic Love」のヒットもその原理によると言われている。YouTubeのおすすめアルゴリズムになぜかこの曲がひっかかり、多くのユーザーの関連動画欄に表示されるようになったのだ。

 アルゴリズムの気まぐれがヒットのきっかけという楽曲は他にもある。ローファイハウスの名曲、Ross From Friends「Talk To Me You’ll Understand」などだ。

Ross From Friends – Talk To Me You’ll Understand

 音楽系ウェブメディアのThumpは、「ローファイハウスはアルゴリズム時代の最初のジャンルなのか?」と題した記事でこの現象について考察している(参考:Thump)。また、2018年に待望の来日公演も果たした、ノルウェーの若手シンガーソングライター・Boy Pabloも、YouTubeのアルゴリズムが人気に火をつけたと言われている(参考:COMPLEX)。

boy pablo – Everytime

 一方、「Plastic Love」が音楽好きの間で受け入れられる準備が整っていたのも確か。サブスクリプション時代の到来とともに巻き起こったアナログレコードブームは、世界中のレコード需要を活気づけた。そこにタイミングよく70年代から80年代にかけての日本の中古レコードが市場に数多く出回るようになったのだ。これによって、山下達郎や大貫妙子を代表とする日本のシティポップが再評価された。音楽好きはこぞって、「Plastic Love」のような日本型ポップミュージックに注目していたのだ。

      

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