HIROOMI TOSAKA、満月からスーパームーンへ 野心作『SUPERMOON』の先鋭的サウンド

HIROOMI TOSAKA『SUPERMOON』評

 そして、最後に衝撃を受けたのが「UNDER THE MOONLIGHT」。HIROOMI TOSAKA自身が作曲した楽曲だ。「BLUE SAPPHIRE」以上にトライバルなビートに乗せて、オルタナティブR&Bのようなボイスが入り乱れ、そのなかで登坂広臣のボーカルが生々しく響き続ける。その交錯ぶりは攻撃的なほどだ。この楽曲にもビルドアップが用意されている。

 HIROOMI TOSAKAは『FULL MOON』のリリース時、筆者のインタビューに対してこう語った。

「僕がUSの音楽を聴いていて向こうのトレンドを考えると、日本でやっていることって一歩も二歩も三歩も遅かったりするから、それをオンタイムでやりたいんです。」(参考:登坂広臣が語る、ソロ活動で目指すビジョン「USのトレンドをオンタイムで表現したい」

 そもそも、HIROOMI TOSAKAが所属する三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのように、本格的なEDMマナーを聴かせるアーティストは、日本のメインストリームにおいてまだまだ多いとは言えない。それなのに、さらにアメリカのヒップホップのサウンドを吸収して反映しようとしているのがHIROOMI TOSAKAのソロプロジェクトなのだ。

 その姿は清々しいまでに貪欲だ。この野心とストイックさをあわせもつサウンドがJ-POPのメインストリームで鳴る意義は大きい。『SUPERMOON』は、まさにスーパームーンを見あげているかのような3曲が収録されているシングルである。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる