『平成ラブソングカバーズ supported by DAM』インタビュー
May J.が語る、平成の歌を新たな時代に繋ぐこと「歌い継いでもらえる曲を生み出したい」
「結局は普遍的なものを作っていくことが大事」
――「また君に恋してる」と「M」はMVも作られたんですよね。どちらもレコーディング風景のみで構成されたものです。
May J.:これ実は、オケも歌も映像も全部が同時に収録されているんですよ。
――え、そうなんですか! それはすごいですね。
May J.:音源を録った後、リップシンクでもう一度撮影するっていうのはなんか違うなって思ったんですよ。だから私が提案させてもらいました。正直、映像も同時収録となるとちょっとビビるところはあったんですけど(笑)、険しいくらいの顔をした本気で歌っている姿を映像にしたほうが絶対に伝わるだろうなと思って。
――確かに普段はなかなか見れないMay J.さんの表情が堪能できますよね。
May J.:自分でも「あ、私ってレコーディングではこんな顔して歌ってるんだな」って感じましたから。ぜひご覧ください(笑)。
――冒頭で昭和と平成の楽曲の違いみたいな部分に言及されていましたが、そのあたりをもう少し伺えればなと。平成の名曲たちをカバーしてみたことで、例えばメロディの雰囲気だとか、何か特徴を感じたりはしませんでしたか?
May J.:メロディに関しては、平成の中でも変化があるような気がしました。平成初期の頃の曲はまだ昭和の香りがちょっと残っていたりもするんですよ。どこか歌謡曲っぽいというか。そういったメロディはギリギリ昭和生まれの私としてもすごく落ち着くものだなって思いました。で、時間が経てば経つほど昭和の香りは薄れていって、平成ならではのものになっていくというか。
――複雑なメロディが増えていった印象もありますよね。
May J.:そうそう。歌いまわしの難しい曲が増えていったような気がしますよね。それはもしかしたら洋楽の影響を受けているアーティストさんが増えたことが理由かもしれないですけど。ただ、昔の曲は昔の曲で難しさもあるんですよ。「愛が生まれた日」のサビ前、〈世界で一番素敵な夜を〉のところは半音ずつ上がっていくんですけど、そこは他の平成の曲にはない難しさ……昭和の難しさっていうのかな(笑)。私はあまり出会ったことのないメロディの動き方だったから、レコーディングはかなり苦労しましたね。ピアノで1音1音確認しながら歌いましたから。でもカラオケではみなさん、それを当たり前のように歌ってらっしゃるわけで。単純に「すげぇな」って思いました(笑)。
――では音楽だけに限らず、平成という時代に関してはどんなことを感じますか?
May J.:なんだろう? 私はほぼ平成という時代しか知らないわけなので、昭和と比べてどうこうって考えたこともないですからね。ただ、平成という時代を第一線で活躍されてきた方々が引退されたり活動休止されたりするのを見ると、時代はこうやって変わっていくんだなって思ったりはします。同じ平成生まれであっても、5年くらい違えば考え方や好きなものも全然変わってきますしね。最近の中高生を見ていると、私がその年齢だったころとはまったく違った感性を持っているように思いますから。つまり……自分も年を取ったんだなって今すごく感じています(笑)。
――でもアーティストとしては、そういった下の世代にも響き得る曲を作っていかなきゃいけないわけですよね。
May J.:そうなんですよね。そこをこれからどうしようかなって常々考えてはいますけど、なんとなく思うのは、身近に感じてもらえることが重要な気がするんですよ。最近の若い子がYouTuberに惹かれるのも、きっと友達のような距離の近さゆえなんじゃないかなって思ったりもするんですよね。
――でもMay J.さんがYouTuberになればいいかっていうとまた違うわけで。
May J.:いやー急に始めるかもしれないですよ(笑)。まあでも今回のカバーアルバムをやってみて感じたことではありますけど、結局は普遍的なものを作っていくことが大事なのかもしれないですよね。流行りに流されることなく普遍的なものを生み出せば、それはきっと世代なんて関係なく聴き継がれていくものだと思うので。私がこれまでの名曲をカバーすることにもそういった意味合いがありますからね。
――それは時代や世代を繋ぐ橋渡しといった意味合いですかね。
May J.:そうそう。まさに橋渡し。本名が橋本なんで(笑)。これからもそういう役割が担えるように頑張りたいなって思うし、自分自身としてもそうやって歌い継いでいってもらえる曲を生み出していきたいなって思いますね。
――では新しい元号「令和」の時代に期待することは?
May J.:そうだなー。とりあえず私は平成を引きずるんだろうなとは現状、思ってるんですけどね(笑)。平成ならではの個性とかカラーっていうのは、新しい元号になったことであらためて見えてくるもののような気もするんですよ。「それって平成っぽくない?」みたいな感じで。
――なるほど。確かに昭和から平成になったときがそうだった気がします。昭和生まれがちょっとバカにされたりして(笑)。
May J.:平成もそうなっちゃうかも(笑)。でも時代が流れたことで昭和の良さが見直されたように、平成の良さにあらためて気づくことにもなると思うんですよね。だからこそ私は新しい時代にしっかり寄り添いつつ、これまでの平成という時代のことも大事にしていきたいなって思いますね。そういうシンガーでありたいと思います。
――そう思えるのはつまり、May J.さんにとって平成がいい時代だったってことなんでしょうね。
May J.:そう思います。平成という時代にデビューして、13年になるんですけど、その間には本当にいろんな出来事がありました。ある意味、平成の間に一通りやれることをやれた実感はあるんです。でも、次の元号でそれ以上の何かができるような気もするし、平成の自分を超えたいっていう期待もあるんですよね。まだまだここからだなって。
――改元という貴重な節目に新たな希望も湧いてきていると。
May J.:新しい自分を探すきっかけになるんじゃないかなって。それが何なのかはまだわからないけど、時代とともに新しいチャレンジをどんどんしていきたいですね。これまでもそういう生き方をしてきたので、それは今後もきっと変わらないんだと思います。
――新たな時代のMay J.さんにも期待していますね。
May J.:はい! 実は曲作りもいろいろやったりしているので、それを早く聴いていただけるように頑張ります。ツアーもまたやりたいですしね。デーモンさんとのデュエットを生でお届けできる日がいつか来たらいいなあ(笑)。
(取材・文=もりひでゆき/写真=林直幸)
■リリース情報
May J.『平成ラブソングカバーズ supported by DAM』
発売日:2019年4月17日(水)
・2枚組CDアルバム+DVD
価格:¥5,000+税
<CD-Disc.1>
・平成ヒット曲のカバー(全15曲収録予定、曲順未定)
<収録予定曲>
M
糸
愛が生まれた日
I'm proud
PRIDE
First Love
雪の華
ハナミズキ
瞳をとじて
Story
また君に恋してる
Lovers Again
366日
キセキ
I LOVE YOU
<CD-Disc.2>
「May J. Tour 2018-Harmony-」2018年9月16日Zepp Diver City TOKYOでの最終公演のライブの音源
<DVD>
新録カバー曲Music Video&既存カバー作のMusic Videoを収録(収録予定時間約20分))
・CDのみ
価格:¥3,000 +税
※収録曲は変更になる場合あり。
<CDショップ特典>
・先着購入者特典(全国CDショップ)
「複製サイン入りアナザージャケット」
※MJF、MJM&mu-moショップとは、別絵柄のアナザージャケット
※全国CDショップにて先着での配布となります。
※特典は無くなり次第配布終了
※一部配布対象外の店舗あり
・山野楽器オリジナル絵柄
「複製サイン入りアナザージャケット」
※山野楽器オリジナルの絵柄のアナザージャケット
※特典は無くなり次第配布終了
※一部配布対象外の店舗あり