『映画 少年たち』にある“ジャニーズとは何か”の答え 京本大我、ジェシー、岩本照を軸に魅力を考察

『映画 少年たち』には“ジャニーズ”の答えがある

 “ジャニーズとは何か”の答えが、『映画 少年たち』にはある。大人が作った社会の闇を突き抜ける想い、ぶつかり合う中で生まれる友情と絆、大事な存在のために自己犠牲をもいとわない純粋さ……ある種のフェティシズムにも近いジャニーズイズムを、これでもかと詰め込んだのが『映画 少年たち』という作品だ。

 やがて大人になってしまう少年たち。その刹那的な美しさと尊さを、ジャニーズは叫び続けているのだ。歌いながら想いがあふれるシャウトに対して「音程が……」なんて論じるのと同じくらい、この作品については「物語の辻褄が」とか「演出がうんぬん」などとレビューするのはナンセンスなのだろう。

 まるで小さな男の子が、「あのね、あのね」と矢継ぎ早に話をしてくれるかのように、一つひとつのエピソードは唐突で荒削り。だから、こちらとしては「ちょっと待って」と整理したくなるのだが、それを許さない圧倒的なエネルギーが勢いよく脳内に流れ込んでくる。そして、鑑賞後に残るのは、理解できたのだろうかという少しの不安と、理解したいという欲求。そして、気づけば「ちょっと、もう1回見てくるわ」と引き寄せられてしまう。それが、ジャニーズなのだ。

 この重力の源は、本作を演じるジャニーズJr.たちの熱量に他ならない。『少年たち』は、1969年の初演以降、幾度となく公演されてきた舞台作品。これまで多くのジャニーズJr.たちが、この作品に携わってきた。そんな伝統的な作品が、今回映画化されたのは、まさにジャニーズイズムを体現する「役者が揃った」からだろう。

 特に主要キャラクターを演じた、京本大我(SixTONES)、ジェシー(SixTONES)、岩本照(Snow Man)は、本作になくてはならない逸材だ。赤房の新入り・ジュン役を務めた京本は、京本政樹を父に持つ芸能界のサラブレッド。日本人が古くから魅了されてきた女形を彷彿とさせる美しい顔立ちは、まだまだ無垢なジュンを演じるのにピッタリだ。また京本の世間擦れしていない、どこか浮世離れした存在感は、仲間のために無謀ともいえる作戦を企てるジュンのピュアさを際立たせている。

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