back numberはなぜ“名曲”を生み出し続ける? 「HAPPY BIRTHDAY」「大不正解」より考察
back numberが本日3月29日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演。「HAPPY BIRTHDAY」と「大不正解」を披露する。
back numberらしい珠玉のラブソング「HAPPY BIRTHDAY」と、アッパーなロックチューン「大不正解」。どちらも毛色は違うものの新たな進化を遂げた良作だ。そこで本稿では、この2曲から改めて彼らの魅力について考えてみたい。
幾度とラブソングを作ってきたback number。彼らのラブソングへのスタンスは不変的だが、どの曲も聴き手をしっかり惹きつける。その理由の一つには、清水依与吏(Vo/Gt)によるメロディメイクがあるのではないだろうか。「HAPPY BIRTHDAY」のサビでは、〈くだらない話は思い付くのに/君を抱き締めていい理由だけが見付からない〉〈ああそうか そうだよな〉というフレーズを、ファルセットとシャウトを行き来するメロディで叙情的に演出。聴いてると、嘆く主人公の様子が不思議と浮かんでくるのだ。聴き手の想像力をかきたてるようなメロディラインと、それをサラッと歌いこなす清水の歌唱力。それらが存分に発揮されている。また、アレンジ/プロデュースは彼らと何度もタッグを組んできた小林武史だ。同曲でもやはり両者の相性は抜群。エモーショナルなストリングスと畳み掛ける躍動的なピアノは、生々しい歌詞を瑞々しく輝かせ、聴き手の懐に入り込んでくる。聴き慣れた王道ポップスのようで、圧倒的に聴き手を惹きつける彼らの魅力が、同曲には凝縮されているのだ。
一方「大不正解」は、熱量のあるロックサウンドに打ち込みやシンセを導入した、ハイブリッドな楽曲になっている。プロデュースは蔦谷好位置だ。これまでのラブソングとは異なる楽曲にチャレンジした彼ら。それは様々なタイアップやドームツアーの成功などによって、次のステージに進もうとする決意の表れであるようにも思う。また、ダンサブルなアレンジで音楽性を拡張しつつも、〈僕等は完全無欠じゃ無い〉〈原型を愛せるわけでもない〉といった彼ららしい“哀愁フレーズ”も含まれており、楽曲に良い歪さが生まれていることにもふれておきたい。