乃木坂46 西野七瀬卒業コンサートに見た、“努力と感謝と笑顔”の歴史

乃木坂46西野七瀬卒業公演レポ

 中盤は「吐息のメソッド」、「僕がいる場所」でスタートし、MCを挟んだあとは、西野のソロ曲「ひとりよがり」へ。減った人数を補強しないまま、「他の星から」のオリジナルメンバー5人で噛みしめるように歌われた「隙間」、“94年組楽曲”である「遠回りの愛情」は、これらのユニットにおける“特別さ”を物語る一幕だった。

 「きっかけ」を挟んで“94年組”の井上・桜井・中田によるMCでは、中田が「94年組のメンバー、もらった頃はめちゃくちゃいたじゃん」とオリジナルメンバーが減っていることや、ダンスの振り起こしの際の思い出を語って涙を見せた。

 その後のVTRでは、最初はよそよそしく、強引に近づこうともしない“良い距離感”だったが、次第にグループのエースとして、Wセンターとして“盟友”になった白石と西野の関係性が紹介され、彼女たち2人による最初で最後のユニット曲「心のモノローグ」、2人がセンターを務め、初めての『日本レコード大賞』を獲得した「インフルエンサー」へ。続けてアンダー曲の「別れ際、もっと好きになる」「嫉妬の権利」、2期生曲の「かき氷の片想い」を挟み、西野がトロッコに乗って笑顔を振りまいたユニット曲「無口なライオン」、切なげに歌い上げられた「やさしさなら間に合ってる」から、残ったオリジナルメンバーである西野・生田・松村の3人で披露された「やさしさとは」への“やさしさメドレー”が、終盤へと向かう“別れの時”を思わせはじめる。

 アンダー曲「My rule」から、西野が生み出したキャラクター“どいやさん”に声が当てられた衝撃のVTRを前後に挟んで人気のユニット曲「せっかちなかたつむり」が披露されたあとは、“どいやさん”型の気球が西野を乗せて飛行し、「スカイダイビング」をパフォーマンス。「会いたかったかもしれない」では西野が気球から“どいやさん人形”をファンへ向けて投下し、本編最後の「いつかできるから今日できる」を終えた。

 アンコール前のVTRでは、西野がグループ内で卒業を発表した際に号泣したメンバーの姿や、西野に関するこれまでの出来事が映し出されたあと、ステージには“ちょっとだけ鳩を意識した”という衣装で西野が登場し「今日のライブが始まる直前まで『卒業ライブかな?』って感じだったんですけど、出る前に喉が締め付けられる感じになって、自分にとっての乃木坂がすごく離したくないものというか、知らない間にそういう例えようのないものになってたんだなと気づかされました」と話し出す。

 その後、「ライブをやって感じてきたのは『楽しいな』ってことで。大変なこともたくさんあるんですけど、ライブができることもありがたいですし、場所があって、セットを作ってくださる方も構成を考えてくれる方も、綺麗に撮ってくれるカメラマンさんも、照らしてくれる照明さんも、マイクから音を出してくださる音声さんもいて。当たり前のように感じてしまうかもしれないけど、こうしてライブができることは当たり前じゃないんだなと昨日の夜に感じていました」と、謙虚な彼女らしく、自分のことはさておき、スタッフに感謝を述べる。

 そして、ファンへ向けて「自分が楽しい気持ちで歌ったり踊ったりできるのは、それを見てくださったりアピールしてくださるみなさんがいたから。すごく力になりました。ライブって『私を見て!』ってしゃかりきにできるところなんですよ。降りると「見ないで!」ってなるんですけど、ライブになると遠くのお客さんにも見えるように精一杯手を伸ばそうとか、自分の中でのルールが一つずつ生まれていって。それを考えるきっかけになるのはファンの方に喜んでいただきたいっていう思いなので、それを思わせてくれて、すごくありがたいなと思います」と、ファンへの感謝を立て続けに口にした。

 最後に自身について、西野は「会場には5万人の方がいて、画面の向こうにはもっとたくさんの方がいて。そんな存在に乃木坂46の西野七瀬がなったことは、誰も予想しなかったですよね(笑)。私もそう思わなかったですから、本当に幸せだったと思います。たくさんの方が力を貸してくれて存在できていて、それは他の仕事にも活きること。この7年間で覚えたことや教訓は、どこに行っても役に立ってくれるものだと思っています。今後は乃木坂46の西野七瀬じゃなくなりますけど、西野七瀬は続いていくので、無理をせず見ていただければと思います」と“不器用なりに届けた”というメッセージを笑顔で届け、彼女にとって最後のソロ曲となった「つづく」を、涙を詰まらせながら歌唱した。

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