w-inds. 橘慶太×NONA REEVES 西寺郷太 対談【前編】 楽曲制作への目覚めと活動原点振り返る

橘慶太×西寺郷太対談

橘慶太とマイケルの歩みに見出した共通点

西寺:なんか、さっきから色々初歩的な質問ばっかりで申し訳ないんだけど、慶太くんのデビューのきっかけはどういう感じだったんですか?

橘:デビューも母がオーディションに勝手に応募して。

西寺:日本の音楽を聞くなって言ってたのに(笑)。めっちゃ面白い(笑)。

橘:本当ですよね(笑)。もともと音楽をやることが夢だったんですけど、その夢を子供に託そうと思ったみたいで。4人兄弟全員オーディションを受けさせられてました。福岡でそれこそThe Jackson 5みたいなグループを組まされてましたし。

西寺:The Tachibana 4(笑)。兄弟の構成はどういう感じなんですか?

橘:兄、僕、妹、妹ですね。

西寺:The Jackson 5は男の子だけだけど、女の子も入ってるならどちらかというと、De bargeですね(笑)。

橘:(笑)。その時は人の歌のカバーをステージでやっていて。途中兄弟以外の人が入っていたこともありました。そうやって子供ながらにいろいろなことをやってきて、本当に突然2008年くらいに自分のグループの音楽を自分で変えたいと思い始めたんです。

西寺:慶太くんのキャリアはまさに、マイケル・ジャクソンの歴史と近いものがありますね。

橘:そうなんですか?

西寺:この話始まったら長いですよ(笑)。マイケルも最初のThe Jackson 5ではパフォーマーというかアイドルでした。でも、70年代半ば、徐々に自分で曲を作りたくなるんですよ。デビュー当時所属していたレコードレーベルのモータウンは、黒人音楽界の名門でした。「いい曲」や「いい演奏」に恵まれていたし、会社からは何が不満なんだとも言われていたけれど。でもどうしてもマイケルを含む兄弟は自分たちで曲が作りたいと。で、移籍したところから、自分たちで曲を作る歴史が始まるんです。その時は周囲に無謀だ、絶対無理だって言われてたんですけど。

橘:叩かれるんですか、そういう時って。

西寺:叩かれるというか、やっぱりチャイルド・スターだと思われていたので、あんまり期待されなくなってきたって感じだったと思う。飽きられて、だんだん「あの人は今」みたいになるんじゃないかって。それくらいデビュー時の爆発はすごかったから。当時のモータウンにはダイアナ・ロス、スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、The Temptations、本当にすごいアーティストがいっぱいいて、集まった職業作詞家、作曲家も天才的。かつワンマン社長のベリー・ゴーディ・ジュニア自身も天才ソングライターだったんですよ。マイケルの先輩にあたるスティーヴィーやマーヴィン・ゲイがキャリアを重ねてしばらくすると社長のゴーディと音楽作りの主導権を巡ってめっちゃ喧嘩して(笑)。結局、二人は社長に自分で曲を作ることを認めさせて、『Talking Book』や『What’s Going on』などで大成功したんですよね。それで当時子供だったマイケルも、スティーヴィーやマーヴィンみたいになりたい、自分で曲を書きたいと主張するんですけど「いやいや彼らは特別なんだ、と。お前には無理だから、今まで通り、歌とダンスに専念しろ」と社長や会社は言ったんですね。ある種の親切心もあったと思うんですけどね。でも結局そこで無理だと言われたことが、最大のモチベーションになってマイケルや兄弟に火がついたというか。さすがにマイケルは慶太くんみたいにミックスまではしないけど(笑)。

橘:(笑)。

西寺:w-inds.もいろんなことを飲み込んでメタモルフォーゼ、進化していってるのはすごいなと思います。ご本人もそうだし、周りの環境もそうだし。でも改めて考えてみると、マイケルや、*NSYNCだったジャスティン・ティンバーレイク、そういう人たちが歩んできた道と近いのかなと。

橘:たしかにそうかもしれません。自分でもあまりに音楽制作が好きすぎて、いつ辞めてしまうのかとドキドキするくらい夢中になってます。なんでも火がついたら止まらないんです。そういえば僕、一時期すごい筋トレをしていた時期があったんですけど。

西寺:え、その言い方だとやめたんですか? 筋トレ。

橘:やめられました。っていうのもおかしいですけど、10年ぐらいやめられなくて。

西寺:おもろ過ぎる(笑)。確かにムキムキな写真見たことありますよ。でも、どうなるんですか? やめた後の身体って。ちょうどいい感じになるんですか?

橘:ちょうどいい感じになりますね。

西寺:慶太くん、最高(笑)。

橘:鍛えすぎた体は踊りには悪影響だったんですけど、その時もやっぱり火がつきすぎちゃって。仕事に対するメリットはひとつもなかったはずなのに。

西寺:かっこいいっていう人もいたでしょ。

橘:1人もいなかったです。

西寺:1人も!(笑)。

橘:僕がどんどんでかくなっていくことに対して反対の声しかなかった(笑)。

西寺:それで逆にまた、やってやろうじゃねーかと火がついちゃった(笑)。

橘:そうなんです。だから僕も反対の声は意外と好きなのかもしれない。曲を作り始めた時も、「そんなことやっても無駄だ」みたいなことを言われたりもしましたし。

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