girl in red、beabadoobee、King Princess…高橋芳朗が選ぶ、注目の女性SSW作品7タイトル

 Mitski、Courtney Barnett、Snail Mail、Soccer Mommy、Clairoなど、女性シンガーソングライターの活躍が目立った2018年のポップミュージックシーン。はたして、この流れは2019年にも継承されていくことになるのでしょうか? というわけで、今回の新譜キュレーションではここ2カ月ほどでリリースされた注目の女性シンガーソングライター作品をピックアップ。欧米の新進アーティストを中心に計7タイトル選んでみました。

girl in red『We Fell in Love in October / Forget Her』

 まずはすでにSpotifyで100万を超えるPVを記録しているというノルウェー出身の19歳、Marie Ulvenのソロプロジェクトとなるgirl in redの両A面のニューシングル『We Fell in Love in October / Forget Her』より「We Fell in Love in October」。2017年からコンスタントにシングルをリリースしている彼女、これまでにも友人のHannahへの想いを綴った「I Wanna Be Your Girlfriend」や〈I’m not talkin’ bout boys, I’m not talkin’ bout girls〉と歌う「Girls」などで自身のセクシャリティをオープンにしてきましたが、それは〈You will be my girl〉と繰り返す今回の新曲にしても同様(MVにはガールフレンドとの熱烈なキスシーンも)。そんなバックグラウンドや年齢からSnail Mailと比較されることも多いようですが、こちらはより陶酔感のあるベッドルームポップ/ドリームポップを志向しています。現状「ネクストClairo」の最右翼といえる存在。

girl in red – we fell in love in october
girl in red – girls
beabadoobee『Patched Up』

 そのgirl in redとコラボシングル『eleanor and park』を出したこともあるロンドン出身フィリピン系の18歳、Bea KristiのソロプロジェクトであるbeabadoobeeのデビューEP『Patched Up』。2017年にデビューした彼女もすでにSpotifyでミリオン超のPVを誇る注目株。昨年夏にはThe 1975、Wolf Alice、Pale Wavesらを擁するDirty Hitと契約を交わしていることもあり、その名が広く知れ渡るのは時間の問題でしょう。影響を受けたアーティストに挙げているのはKaren O、さらにスパイク・ジョーンズ監督の映画『her/世界でひとつの彼女』の挿入歌「The Moon Song」をカバーしたこともある、という情報からピンときた方にとってはまちがいないアーティストかと。ほぼ全編がキュートなベッドルームフォークで占められるなか、ギターポップの「If You Want To」が良いアクセントになっています。

beabadoobee – Dance With Me
girl in red & beabadoobee – eleanor and park
King Princess『Pussy Is God』

 Mark Ronsonがソニー傘下に興した<Zelig Records>より昨年デビューしたブルックリン出身の20歳、King Princessのニューシングル『Pussy Is God』。2015年に映画化されたパトリシア・ハイスミスによるLGBTQ小説の古典『キャロル』へのトリビュートとしてリリースしたデビュー曲「1950」がいきなりアメリカでゴールドディスクを獲得、一躍新時代のクィアアイコンになった彼女ですが、Janelle Monáeのあの「Pynk」とも共振する今回の新曲はそんな状況にさらに拍車をかけることになりそう。荘厳な「1950」から一転してのファンキーなサウンドプロダクションとの相性も良好で、ダンスミュージックへの対応力が高いとなってくると今後はボスのMark Ronsonとの絡みに期待が高まります。なお、King PrincessことMikaela Strausは現在女優のAmandla Stenbergと交際中ですが、この「Pussy Is God」には共作者としてAmandlaの名前もクレジットされています。

King Princess – Pussy Is God
Faye Webster『Kingston』

 2013年にアルバム『Run and Tell』でデビューしたアトランタ出身の21歳、Faye Websterがニューシングル『Kingston』をリリース。アメリカーナの強い影響下にありながらもAaliyahをアイドルとして崇めるという異色の音楽的バックグラウンド(このあたりは彼女がフェイバリットに挙げるNatalie Prassの音楽趣味を彷彿させます)、ミュージシャンの傍らフォトグラファーとしてLil YachtyやOffset、D.R.A.M.らラッパーのポートレートを手掛ける多彩な活動(彼女が撮影した写真は『Billboard』や『Rolling Stone』に使用されたことがあるとのこと)など、とにかく興味深い要素がもりだくさんなアーティストですが、<Secretly Canadian>移籍第一弾となる今回の新曲はぐっとソウル度がアップ。サックスをフィーチャーしたシルキーでメロウな味わいは「Music」など初期のCarole King作品に通じるところもあるのではないかと。この路線、ぜひとも推し進めていただきたいです。

Faye Webster – Kingston

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