わたなべちひろ、イマジンスタジオに響かせた“ピュアな感性に溢れる歌声” 初ソロライブを見た

わたなべちひろ、初ワンマン公演レポート

 この日はオリジナル楽曲も披露した。まずはバラードナンバー「You will always be the one」。1960年代〜1970年代のアメリカンポップス、ミュージカルを想起させる、美しい憂いを帯びたメロディライン、“あなたはいつだって、私にとってたった一人の人”という思いを込めた歌詞、そして、切実な思いを込めたボーカル。筆者は初めてこの曲を聴いたのだが、(まるでずっと前から知っているような)スタンダードナンバーのような雰囲気が伝わってきた。

 さらに「みなさんの前で初めて演奏する日本語のオリジナル曲。とても大好きな曲です」と紹介された「君」。

 ノスタルジックな風景が浮かんでくるような旋律ともに描かれるのは、かけがえのない〈君〉に対する真っ直ぐな思い。〈いま、君の切なそうな顔が頭に浮かぶよ〉そして、〈君が好き〉といったフレーズを丁寧に届けるボーカルによって、会場は大きな感動で包まれる。どこまでもピュアな感情を、決して大仰にならず、そのままの形でまっすぐに表現し、普遍的な歌に導く。「君」からは、彼女のソングライティングの豊かな可能性がしっかりと感じられた。

 本編の最後は「Sing a Song」。「さあ、みなさん。最後の曲となりました。よかったら手拍子をお願いします」という声に導かれ、観客もハンドクラップで参加。ゴスペルのテイストを感じさせるポジティブな解放感が広がり、心地よい一体感が生まれた。

 アンコールでは、まずオリジナル曲「When Every Star is Shining」をロマンティックに歌い上げる。ライブのエンディングを飾ったのは、ジョン・レノンの「Imagine」。

「この曲は私にとって、とってもとっても大切な曲で、数えきれないくらい歌わせていただきました。こうしてみなさんの前で歌うきっかけをくれた曲、私とみなさんをつなげてくれた曲でもあります。こうして“イマジンスタジオ”でこの曲を歌えることをとても感謝しています」

 そんな言葉に導かれた「Imagine」は、まさに圧巻だった。原曲に対するリスペクトを強く込めると同時に、ソウルミュージック、R&Bのニュアンスをナチュラルに散りばめることで、“わたなべちひろの歌”として表現していたのだ。そのパフォーマンスは、彼女の溢れんばかりの才能を確かに示していた。

 ライブ終了後、観客から花束を受け取った彼女は「緊張でいっぱいだったんですけど、無事終えられてホッとしています。後半になってノッてきて、楽しくなってきました」と笑顔に。ステージの後ろの壁に刻まれた、ジョン・レノン直筆の「imagine」の文字に手で触れていたのも印象的だった。

 この日のライブは12月9日のニッポン放送『有楽町コネクテッドラボ』内で編成される特別番組内で放送。さらに2019年4月5日には東京・shibuya eggmanで初のワンマンライブ『「Chihiro Watanabe Concert 2019 ~旅立ちの春~」』が開催されることも決定した。オーセンティックな音楽性、ピュアな感性に溢れたわたなべちひろの歌を、この機会にぜひ体感してほしい。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

■ライブ情報
初ワンマンライブ『Chihiro Watanabe Concert 2019 〜旅立ちの春〜』
【日時】2019年4月5日(金) OPEN 17:30/START 18:00
【会場】Shibuya eggman (東京都渋谷区神南1-6-8 B1)
【料金】前売り 2,500円(税込)  ※ドリンク代別
チケット詳細はこちら

オフィシャルホームページ
オフィシャルYou Tubeチャンネル

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる