わたなべちひろ、イマジンスタジオに響かせた“ピュアな感性に溢れる歌声” 初ソロライブを見た

わたなべちひろ、初ワンマン公演レポート

 14才の盲目の女性シンガー わたなべちひろが11月23日、東京・有楽町のニッポン放送 イマジンスタジオで初めてのソロライブを開催した。本人曰く「みなさんとつながるきっかけをくれました」という「Imagine」(ジョン・レノン)のカバーから、彼女にとって初の日本語詞によるオリジナル曲「君」など10曲を披露した。

わたなべちひろ

 ライブは「Sunrise」(ノラ・ジョーンズ)からスタート。一瞬ブレスが聴こえた後、静かに歌い始めた彼女は、楽曲が進むにつれて豊かな倍音、心地良いグルーヴを響かせ、観客を一気に魅了していく。エレピの弾き語りを中心に、アコースティックギター、パーカッションを加えたオーガニックなアレンジも、彼女の歌の魅力をしっかりと支えていた。

 「こんにちは、わたなべちひろです!! 初めてのイマジンスタジオでのライブで緊張していますが、心を込めて歌います。最後までどうぞよろしくお願いします!」というハキハキとした挨拶の後は、「So Far Away」(キャロル・キング)、さらにバイオリンが加わり「You raise me up」(Secret Garden)。楽曲を重ねるごとに緊張が解け、本来の生き生きとしたボーカルが広がる。ふくよかな低音から伸びのある高音まで幅広い音域を活かし、原曲の良さを引き出す表現力も素晴らしい。

 2歳のときに野外ライブで聴いたBank Bandの「to U」をキーボードの音を探しながら弾いたことをきっかけに、音楽に興味を持ったという彼女。未熟児網膜症のため視覚障害になってからもピアノと歌に向き合い、徐々に才能を開花させた。2013年にヘレン・ケラー記念音楽コンクール「ピアノ低学年の部」で優勝。2016年には第13回『ゴールドコンサート』に出演し、音楽評論家の湯川れい子氏に激賞された。さらに昨年10月にはニューヨーク・アポロシアターの『アマチュアナイト』に出演。今年3月にはNHK総合のドキュメンタリー『イマジン そこに「境界」はない』が放送されるなど、大きな注目を集めている。この日のライブでも、シンガーとしての実力を存分に発揮。単なる話題性ではなく、アーティストとしてのポテンシャルの高さを改めて証明してみせた。

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