Halo at 四畳半、Saucy Dog、mol-74……若手バンドが描くそれぞれの“失恋ソング”

 back numberやMy Hair is Badなど、邦ロックバンドがブレイクするきっかけの一つに“失恋ソング”があるように思う。10月も終わり、季節は冬を迎えようとしているこの時期に聴いてほしい“失恋ソング”を、いま注目の若手ロックバンドが今年リリースした作品の中から紹介したい。

Halo at 四畳半「ヒューズ」

Halo at 四畳半『swanflight』(通常盤)

 10月17日にリリースされたメジャーデビューフルアルバム『swanflight』の収録曲「ヒューズ」。タイトルである“ヒューズ”は、定格以上の電流が流れると切れてしまう電子部品のこと。失恋を女性目線で語っている同曲を、渡井翔汰(Vo/Gt)が真っ直ぐと力強く歌い上げることで、楽曲がより濃く彩られる。一度壊れてしまったものは元通りには戻らない。この恋を〈運命ではなかったの〉で片付けてしまいたいけれど、〈痛みすら愛おしいよ〉と思うほど、私の中ではまだ芽を伸ばし続けているーー。一定のリズムを刻む電子音で始まり、一定のリズムを刻む電子音で終わるのが印象的だ。その電子音はまるでふたりの歩調が同じだったあの頃を示すと同時に、機械的な冷たさから別れてしまった今をも表しているように聞こえる。〈どこかでこの未来を あなたは見ていたのでしょう/私とはまるで違う未来を 同じような振りをして〉。ラスサビ後に渡井とコーラスが別々の歌詞を歌うところが、ふたりが全く違う未来を歩んでいることを暗示しているようで、悲しさが込み上げてくる。

Halo at 四畳半 "ヒューズ"(Official Music Video)

Saucy Dog「コンタクトケース」

Saucy Dog『サラダデイズ』

 5月23日にリリースされたミニアルバム『サラダデイズ』の収録曲「コンタクトケース」。君が置いていった“コンタクトケース”と共に、帰ってくるはずのないその人を待ち続けている僕の心情を歌う。石原慎也(Vo/Gt)の情緒的で感情を絞り出すような歌声にせと ゆいか(Dr/Cho)の綺麗な高音のコーラスが重なることで、切なさがじんわりと胸に染み渡る。今も洗面所にポツリと残る空のコンタクトケースを見て、テプラのシールようになかなか綺麗に剥がれてくれない君との思い出を遡る僕。前半は静かに君と過ごした日々を振り返り、サビでは楽器の演奏と共に、石原の歌声が昂ぶっていき、いまも心に残る君への疑問が響き渡る。そして、楽曲の終盤〈この日々はやがて昔話になるけど/決して嘘なんかにはならないよ/僕ら嘘なんかにはならないよね〉と石原が叫ぶように高音で歌うのが、もう呼吸ができなくなるのではないかと思うほど、苦しくて痛い。コンタクトケースという日用品から、これほどまでに胸を苦しくさせる物語を紡ぎ出すなんて。

Saucy Dog「コンタクトケース」MV

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