パスピエ、新旧楽曲で表現した9年間の軌跡と新たな始まり 初の日比谷野外音楽堂ワンマン公演

パスピエ、初の日比谷野音公演レポ

 ライブ後半のMCで成田、大胡田は、“印象H”と名付けたこの日のライブに対する思いを改めて語った。

「パスピエはもうすぐ結成10年。9年の間にライブハウスもやったし、フェスにも出させてもらったし、ワンマンツアーもやったし、武道館みたいな大きい場所でもやって。そこに日比谷野外音楽堂が加わって本当に嬉しいです。初めの日がみなさんと一緒でよかったなって」(大胡田)

「自分たちとって“印象”は始まりの言葉。パスピエという名前自体が印象派の作品で(パスピエというバンド名は、印象派を代表する作曲家クロード・ドビュッシーの楽曲に由来)、以前やっていた対バンシリーズの名前も“印象A”から始まって。また今回、新しく始めるという意味を込めて“印象H”というライブをこんな素敵な場所でやれて嬉しいです」(成田)

佐藤謙介

 「今日はこの曲を東京のみなさんのために歌います」(大胡田)とコールされた「ON THE AIR」からライブは後半へ。緻密なアレンジメントとダイナミックな演奏がせめぎ合う「裏の裏」、和の要素を押し出した「MATATABISTEP」、初期からのアンセムのひとつ「最終電車」、そして、観客の大合唱とともに心地よい高揚感が広がった「S.S」。パスピエの多彩な魅力が体感できる圧巻のステージだった。

 アンコールでは「このテンションのなか、調子に乗って新曲やっていいですか!?」(成田)と新曲を披露。80’sニューウェイブ感、オリエンタルな雰囲気といったパスピエの特徴を受け継ぎつつ、アンサンブル、楽曲の構成などにおいて新たな要素を取り入れたこの曲は、“これまで”と“これから”を繋ぐナンバーと言えそうだ。

 ダブルアンコールの「ハイパーリアリスト」でライブは終了。9年間のキャリアのすべてをカバーするようなセットリスト、そして、4人体制のパスピエの在り方を明確に示すステージング。集大成とこの先のビジョンを同時に体現した初の野音ライブはパスピエにとって、大きなターニングポイントになりそうだ。

(写真=Yosuke Torii)

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

<セットリスト>
パスピエ 野音ワンマンライブ “印象H”
2018年10月6日(土)東京・日比谷野外大音楽堂

01 素顔
02 ヨアケマエ
03 贅沢ないいわけ
04 永すぎた春
05 チャイナタウン
MC
06 シネマ
07 ネオンと虎
08 トロイメライ
09 花
10 (dis)communication
11 脳内戦争
12 とおりゃんせ
13 蜘蛛の糸
14 フィーバー
15 マッカメッカ
MC
16 ON THE AIR
17 裏の裏
18 MATATABISTEP
19 最終電車
20 S.S

ENC.01
21 (新曲)
22 正しいままではいられない
ENC.02
23 ハイパーリアリスト

パスピエ公式サイト

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