石川さゆりが語る、“歌うこと”へのモチベーション「みなさんの心や生活に寄り添える歌が歌えたら」

石川さゆり『花が咲いている』インタビュー

「ジャンルに縛られるのはつまらない」

ーーリリース日の8月15日にはLINE LIVEも行われました。

石川:歌の番組が少なくなったこともそうですけど、歌を伝える方法もどんどん変わってますからね。好き嫌いがあるのはしょうがないですけど、まずは聴いてもらわないと。スタッフのみなさんとお話しているときに「LINE LIVEをやりませんか?」という提案が出てきたときも、「聴いてもらえるのであれば」という感じだったんです。正直、聴いていただければどんな方法でもいいんですよ、私は。「いまはLINE LIVEですよ」と言われれば、「そうなの? じゃあやってみるわ」と楽しんで参加している感じですね。

ーー当日は箭内道彦さんとのトークも。箭内さんはシングル『花は咲いている』のビジュアル制作にも参加しているそうですね。

石川:箭内さんとお仕事をさせていただくのも初めてだったのですが、その縁もあって『(風とロック)芋煮会』に出演させていただくことになったんですよ。石川さゆりの歌を聴いたことがない、観たこともないという方もいらっしゃると思うんですが、箭内さんが「きっとお客さんにも楽しんでもらえると思います」と言ってくださって。「だったら出ちゃおうかな」って(笑)。イベントの趣旨も素晴らしいんですよね。もともとは東北のチャリティとして始まったものだし、今回は私の故郷の熊本の復興支援も加わっていて。あと、知り合いの方もたくさん出てるんですよ。亀田さん、池ちゃん(池田貴史/レキシ)も常連だし、以前からつながりがある方が多くて。私は音楽を通して一人ひとりと知り合ったんですが、俯瞰するとみんながつながってたっていう。お互いのライブに行ったり、一緒に歌を作ったり、いい時間を重ねて。気が合う人とは気が合うし、年齢や性別を超えてつながれるのは本当に素敵なことだし、「音楽ってええもんやなあ」と実感している今日この頃です(笑)。

ーー2010年を境にして、奥田民生さん、椎名林檎さんなど、さまざまなジャンルのアーティストとのコラボレーションが活発になったことも大きいのでは?

石川:そうですね。阿久悠さんが2007年にお亡くなりになられて、その後、三木(たかし)先生、吉岡先生も……。私の歌を作ってくださった方々がいなくなってしまったんです。「この先、どうやって歌を作っていこう?」と思っていた時期に、吉岡先生の奥様が「ウチのパパたちが新しい歌を作ることは二度とないのよ。でも、あなたはこれからも生きて、歌わなくちゃいけない」と言ってくださって。その後、つながりがあったアーティストのみなさんに「一緒に歌を作らない?」と声をかけて、『X -Cross-』というコラボレーションアルバムを作ったということですね。ジャンルに縛られるのはつまらないし、楽しくて気持ち良ければ、それでいいじゃないと思うんです。洋服を着たい日もあれば、着物を着たい日もあるのと同じで、いろいろな音楽を楽しみたいので。

ーー歌うことに対するモチベーションについてはどうですか?

石川:音楽との向き合い方はずっと同じかもしれないですね。デビューしたときは子供だったから、ただ一生懸命歌っていただけだし、「石川さゆりを覚えてほしい」「ヒット曲にしたい」という気持ちもありましたけどね。もちろん「ヒットさせたい」という思いは今もありますけど、これまで歌ってきた幸せと、これからやっていくべきお役目を考えることが増えてます、最近は。ここまで歌えたことは本当に感謝だし、歌を通して恩返ししたいな、と。自分自身の目標というよりも、いまの時代が歌、音楽に求めていることに反応したいという気持ちが強いですね。若いときは「ミュージカルの舞台に立ちたい」とか、いろいろな夢を持つじゃないですか。いまはそうじゃなくて、日本という場所のなかで、自分がやらせていただけること、おこがましいかもしれないけど、やらなくちゃいけないことを考えていきたいんですよね。そのうえで、みなさんの心や生活に寄り添える歌が歌えたらいいなって。こんなこと言うとすごく立派な感じがするけど(笑)、これが正直な気持ちです。

ーー自身の欲求よりも、与えられた役割を全うしたい、と。

石川:もちろん、私自身がやりたいこともありますよ。いま思っているのは、「花が咲いている」をたくさんの人と一緒に歌うこと。大きい声で歌ったら、楽しそうじゃない?

(取材・文=森朋之)

石川さゆり『花が咲いている』

■リリース情報
『花が咲いている』
発売中
価格:1,300円(税込)

<収録曲>
M1.花が咲いている
M2.オリーブの島
M3.花が咲いている(オリジナル・カラオケ)
M4.オリーブの島(オリジナル・カラオケ)

Apple Music、レコチョク、Google Play Music、LINE MUSIC、Spotify、AWA、KKBOXほか、各音楽配信サイトにて配信中。

■関連リンク
石川さゆり オフィシャルサイト
石川さゆりレーベルサイト

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