ビッグ・フリーダ、ドレイク、ワイファイズフューネラル……真夏のバウンシーなヒップホップ5選

 そして、新鋭たちによるバウンスチューンをもう一曲紹介させてください。以前もこのコーナーで紹介したことのある大所帯クルー、Brockhamptonの新曲、「1997 Diana」も、バウンシーなテイストが溢れ出ています。

1997 DIANA - BROCKHAMPTON
Brockhampton『1997 Diana』

 クルーのリーダー格であるケヴィン・アヴストラクトのバースでも「ニューオーリンズのバイブスを振りかけると、クイーンみたいな香りでしょ」との表現が。ちなみにケヴィンは同性愛者であることを公言しています。なので、キングではなくて“クイーン”という表現なのですね。そして、前述したビッグ・フリーダもまた同性愛者の男性で、ゲイだということをカミングアウトし、LGBTQコミュニティにおいて尽力している人物です。Brockhamptonは、少し前にリリースした一連のシングルシリーズ「1999 Wildfire」でも、主に2000 年代前半にヒットを飛ばしたサウスシーンの名プロデューサー、ジャジー・フェイを招いており、完全に当時のバイブスを再現していました。さらに余談ですが、シリーズ作の一作「1998 TRUMAN」では1999年にドクター・ドレーがエミネムを迎えて放ったヒット曲、「Forget About Dre」が引用されています。それぞれのタイトルは、各年の映画やテレビ番組にも言及したもの。これから発売される彼らのメジャーデビューアルバム『The Best Years Of Our Lives』に期待が高まります。

 最後に紹介したいのは、シアラの新曲「Level Up」。

Ciara - Level Up
シアラ『Level Up』

 この曲、FUN.が2009年に発表したヒット曲「We Are Young」の“Kyle Edwards & Dj Smallz 732 Jersey Club Remix”というリミックス楽曲をサンプリングしており、かなりバウンス感のある一曲に仕上がっています。シアラはシングルと同時に、本曲のMVもリリース。すでにフックの特徴的なダンスを真似する「#LevelUpChallange」が広まっているので、おヒマな方は挑戦してみては。

 と、夏のお祭りシーズンにぴったりなバウンスチューンを紹介させて頂きました。ビーチで、プールサイドで、クラブで、はたまたエアコンが効いた部屋の中で、皆さんも良きバウンスシーズンを過ごされますよう! 以上、暑中見舞いと代えさせていただきます。

■渡辺志保
1984年広島市生まれ。おもにヒップホップやR&Bなどにまつわる文筆のほか、歌詞対訳、ラジオMCや司会業も行う。
ブログ「HIPHOPうんちくん」
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blockFM「INSIDE OUT」※毎月第1、3月曜日出演

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