KEYTALKが“応援ソング”で発揮するソングライティングスキル 新曲「Cheers!」から考察
KEYTALKの今までの楽曲と比べても随一のポジティブさを誇る新曲「Cheers!」にも、〈もやもやしたり つまずいちゃったり そんな毎日/流れるままに 眺めるままに 通り過ぎてく〉と、悩み多き日常をポップな言い回しで表現している一節がある。どんなに明るい題材でもネガティブな気持ちをしっかり描き込むことで、リスナーの心にそっと寄り添い、サビなどのポジティブな歌詞のカタルシス感を際立たせるエッセンスとして活用しているのだ。
また、寺中が手がけた『Cheers!』のカップリング曲「東京シネマ」の歌詞には、〈優しさを唄う歌は 誰かへのナイフに 変わるかもしれない〉というフレーズがある。この歌詞からは、“頑張れ”などの人を励ます善意のメッセージがかえって人を追い詰めてしまうかもしれないことを、寺中が日頃から意識して作詞をしていることが伝わってくる。これは寺中個人から発せられた言葉でありながら、KEYTALKの作詞の根本的なスタンスを明確に言い表している言葉でもあるだろう。
人を励ますメッセージの重さをしっかりと理解し、その高いソングライティングスキルと深い優しさで独自のスタイルを築き上げた、KEYTALKの応援ソングの数々。ストレートな応援ソングに苦手意識を抱いたことがある人も、彼らの描き出すストーリーにきっと励まされるはずだ。
■五十嵐文章(いがらし ふみあき)
音楽ライター。主に邦楽ロックについて関心が強く、「rockinon. com」「UtaTen」などの音楽情報メディアにレビュー/ライブレポート/コラムなどを掲載。noteにて個人の趣味全開のエッセイなども執筆中。ジャニーズでは嵐が好き。
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