ハナエが目指す、新しい表現スタイル「みんなを巻き込んで、楽しい悪だくみがしたい」
クラウドファンディングプラットフォーム『CAMPFIRE』で「ミニアルバム&詩集 制作プロジェクト」を展開しているシンガーのハナエ。CDと詩集がセットになったメインプランに加え、クリスマスライブプランや新春カラオケ会プラン、飲み会ライブプランなど多彩なリターンが用意された本プロジェクトは、開始からわずか14時間で目標金額150万円を達成し、現在もその支援数を増やし続けている。
デビューから約6年、昨年末からフリーとして活動している彼女がクラウドファンディングにトライした理由と、パトロンのみが手に入れることができる、エレクトロスウィングを取り入れた最新ミニアルバムの全貌について、本人に話を聞いた。(もり ひでゆき)
「今まで以上にファンの方と近い関係に」
――ハナエさんは現在、クラウドファンディングプラットフォーム『CAMPFIRE』で「ミニアルバム&詩集 制作プロジェクト」を行っています。現段階ですでに目標金額(150万円)を大きく上回る370万円以上の支援金が集まっていて。
ハナエ:はい。ありがたいことにプロジェクト開始から14時間ほどで目標金額を達成しまして。その後も徐々に支援が増えていっている感じですね。
――今回、クラウドファンディングに挑戦しようと思ったのはどうしてなんですか?
ハナエ:いろんな方々がいろんなプロジェクトを掲げているクラウドファンディングは単純におもしろそうだなと思っていたし、そのこと自体がアーティストとしてのイベントにもなるなと感じていたところがあって。私は昨年末からフリーで活動しているので、ミニアルバムの制作支援を直接していただけることに対しても大きなメリットを感じていたんです。さらに、今までTwitterなどを通してファンの方と「カラオケ会や飲み会ライブやりたいね」みたいな話をしていたので、その開催もリターンとして設定すれば一度に全部叶えてしまえるなと。
――そこに不安は一切ありませんでしたか?
ハナエ:クラウドファンディングに対してのネガティブな感情はまったくなかったんですよ。ただ、現実としてどのくらい支援が集まるかわからないという不安はもちろんありましたし、支援金額やパトロン数がリアルに見えてしまうことでファンの方を心配させちゃうんじゃないかなっていう危惧はありましたね。あと今回は10,000円、20,000円といった高額プランも用意したので、そこがどう受け取られるかの心配もあったかな。私のワンマンは今まで5,000円を超える金額設定はしてこなかったし、中高生のファンも多いので。だからクラウドファンディングをやりますって情報解禁するまでは胃が痛いくらいだったんですけど(笑)。
――支援金額を見ると、その心配は杞憂だったようですね。
ハナエ:そうですね。このプロジェクトを発表してみると、「よっしゃ、その話に乗ったろう!」みたいなファンの方が多くて。すごく盛り上がってくれたんです。そういう状況を見て、クラウドファンディングに初めてチャレンジして良かったなって思いましたね。
――これまでの活動ではレーベルが音源制作のバジェットを用意してくれていたと思うんですが、それと比べてクラウドファンディングで支援してもらうことに対してのメリットってどこにあると思いますか?
ハナエ:一番は無駄がないってことですかね。集まった資金のすべてを100%制作に移せますから。そういう意味では今まで以上にファンの方と近い関係で物作りができているなと感じるし、今の音楽シーン自体、どんどんそういう方向に向かっているような気もしますから。だから私はクラウドファンディングにはメリットしか感じないんですよ。
――CDが売れないと叫ばれるようになって久しいですが、そういった時代だからこそリスナーとの近い距離感で活動する必要がクリエイターには求められていて、そこに対してクラウドファンディングというシステムはマッチしたものであると。
ハナエ:そうそう。距離感って言ってもいろんな種類があって、アイドルのように接触系イベントをたくさんするのもひとつの方法。でもクラウドファンディングはそれとは違った方向性でリスナーとの距離を縮められるものだと思うんです。私はそういう部分にすごく魅力を感じますね。
――そういった思考はフリーになってから芽生えたものなんですか?
ハナエ:いや、基本的に自分の考えは変わってはいないと思いますよ。今までもずっといろんなことに対してこだわりぬいて、自分のやりたいことをやってきましたからね。それがだいぶわがままに見えていたところもあったと思うんですけど(笑)。ただ、フリーになってより自由になったところはあると思います。クラウドファンディングにしてもそうですけど、自分がいいと思ったことに対してすぐ行動に移せますから。すべての最終決定権が自分にあるから責任の重さも同時に感じますけど、今もたくさん支えてくれる協力者の方々が私にはいるので、やりがいを感じながら楽しめているんですよね。
まぁ本音を言えば、いいお話があれば事務所やレーベルに所属したいですけど。絶賛就活中でもあるので、この記事を読んでハナエに目をつけてくださる方がいれば嬉しいです(笑)。
――今回のクラウドファンディングへの挑戦がいい方向に進んでいるのは、約6年のキャリアがあってこそという印象もあります。そのあたりご自身ではどう感じていますか?
ハナエ:それは私もすごく感じていて。これまで応援してきてくださったファンの方がいてこそ挑戦できたことだなとは思います。ちょっと離れていたファンの方がTwitterでクラウドファンディングのトピックを見つけてくれてリターンの予約をしてくださったりっていうこともあったので。
――コアなファンはもちろん、それ以外の層にもクラウドファンディングの情報がしっかり拡散されている実感もあると。
ハナエ:はい。普段絡んでいない方がTwitterでリプライをくれたり拡散してくれたりもしていたので、ハナエの周りで何かが動き出したぞ感があったんだと思うんですよね。それによって私自身も、周囲がざわついている感じを受け取っていましたし。CAMPFIREの場合、どこから私のプロジェクトのページに飛んできたかもわかるのもすごくおもしろくて。それを見ると、基本的には私のTwitterからのリンクが一番多いんですけど、CAMPFIREのトップページから来てくれている人もいるんですよね。
――なるほど。そういった人の中にはハナエさんのことを知らない人がいるかもしれないわけですよね。
ハナエ:そうなんですよ。きっと「何かおもしろいプロジェクトをやってる人はいないかな?」みたいな感じでCAMPFIREのサイトを見ている中で私のプロジェクトに反応してくれたんだと思うんです。そういった新たな出会いがあったりすると、なおさらクラウドファンディングというアクションを起こして良かったなって感じるんですよね。