10-FEETのライブはなぜロックファンに求められる? “対話”を生む壮絶なステージを目撃

10-FEET、SLSレポ

 スペースシャワーTVが主催する野外ライブイベント『SWEET LOVE SHOWER 2017』が、今年は8月25~27日の3日間にわたって山梨・山中湖交流プラザ きららで開催中だ。リアルサウンドでは、同イベントのライブレポートを掲載。本稿では、2日目である26日、LAKESIDE STAGEのトップバッターを務め、11月に5年ぶりのオリジナルアルバム『Fin』を発売する10-FEETのライブの模様をレポート。


 2日目を迎えたLAKESIDE STAGE。トップバッターを務めるのは、自身で『京都大作戦』を主宰する他、この夏も各地のフェスから引っ張りだこである10-FEET。拍手のなか、TAKUMA(Vo./Gt.)が「10-FEET、本日最後の曲です。ありがとうございました!」と挨拶した通り、2曲目以降は“アンコール”として演奏するという、10-FEET鉄板の流れだ。

 無数のタオルが宙を舞った「CHERRY BLOSSOM」、そして「RIVER」という2曲を終えたところで早くもオーディエンスは大盛り上がり。「お前らひょうきんすぎる、今日は! 2曲やっただけで靴飛んできた!」と、TAKUMAが笑う。

KOUICHI(Dr./Cho.)

 そしてKOUICHI(Dr./Cho.)が絶えずビートを刻み続けるなか、NAOKI(Ba./Vo.)がそこにマイナーコードの響きを重ね、「1sec.」からギアチェンジ。爆裂の裏打ちからスカっぽいリズムまで変幻自在なKOUICHIのプレイ、グオングオンと音程を激しく上下させるNAOKIのベースライン、TAKUMAの咆哮のようなボーカル。10-FEETここに極まれり、と言いたくなるような緊迫感溢れるサウンドを前に、オーディエンスも激しく身体を動かし応戦していった。

NAOKI(Ba./Vo.)

 この日のMCは「俺、何言ってんの!」とTAKUMAが自分でツッコむほどのものだったが、そこにあるのはお決まりの台詞ではなく、剥き出しの本心のみ。「根暗なヤツは、根元が暗いだけで普段めちゃ明るいやつが多いです! 無口なヤツは、頭の中で喋ってることが人よりも多くて結構好きです! 人見知りのヤツは、ライブに来ると豹変して大人気ないので好きです! いつも通りじゃない、普段のお前らじゃない姿をライブで見られたらいいなと思います!」。TAKUMAがそう語りかけ、最新シングル曲「太陽4号」へ突入した。歌を中心に置いたシンプルなアレンジを前に、オーディエンスはじっと、言葉のひとつひとつを噛み締めるように聴き入る。後半パラつき始めた雨が、<雨が上がりました そちらはどうですか?>と歌うこの曲の時だけ止むという、野外ならではのマジックもまた感動的なものだった。

 本日もそうだったが、10-FEETのライブを見ていると、セットリストが進むにつれて、このバンドの音楽と深いところで対話をしているような感覚にさせられる。彼らのライブの魅力は、鉄板の“楽しさ”だけではない。音楽を通じて自分自身の限界を飛び越えていくような、その時の感動を味わいたくて、多くの人が彼らのいる場所に集まってくるのだ。

(文=蜂須賀ちなみ/撮影=岸田哲平)

■セットリスト
10-FEET
『SWEET LOVE SHOWER 2017』
2017年8月26(土)山梨・山中湖交流プラザ きらら

1. CHERRY BLOSSOM
2. RIVER
3. 1sec.
4. その向こうへ
5. 太陽4号
6. ヒトリセカイ

『SWEET LOVE SHOWER 2017』ライブレポート特集

8月25日(金)

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