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西廣智一『日本ヘヴィメタル/ラウドロック今昔物語』第5回「MWAMが成功した2つの要因」

MAN WITH A MISSIONが成功した「2つの要因」 そのオリジナリティはどう確立したか?

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 2016年後半、MAN WITH A MISSION(以下、MWAM)を大型フェスで観る機会が何度かあったのだが、その中でも特に印象に残ったステージが2つある。ひとつは自身2度目の出演となった、2016年7月の『FUJI ROCK FESTIVAL ’16』。初めてGREEN STAGEに立った彼らは、日本のロックバンド代表として堂々としたパフォーマンスとエンタテインメント性の強い演出で観るものを楽しませてくれた。そしてふたつめは、2016年12月に福岡で初開催された『AIR JAM 2016』。イベント後半に登場したMWAMは“AIR JAM世代”を前に一歩も引かないステージを繰り広げ、MCでは昔から憧れていた『AIR JAM』に出演できた喜びを興奮気味に語っていた。

 90年代にロックに夢中になった者、バンドを始めた者なら誰もが一度は憧れたであろう『FUJI ROCK FESTIVAL』と『AIR JAM』。ともに1997年に初開催された2つのフェスに、約20年の歳月を経て出演できているMWAMの快挙は、メンバーはもちろんのこと、ファンやロック/パンクリスナーにとっても感慨深いものがあるのではないだろうか。

 なぜMWAMは現在のように、人気/セールス/動員において成功を収めることができたのか。そこには「ヴィジュアル」と「サウンド」という2つの大きな要因が関係していると思われる。

 2010年に始動したMWAMにとって、バンドの認知に大いに役立ったのは「頭はオオカミ、身体は人間」というそのヴィジュアルだ。最初こそイロモノ的な目で見られていたものの、英詞と日本語詞を巧みに織り交ぜた歌詞と、激しく攻撃的ながらもメロディアスで親しみやすいメロディを持つ楽曲は本格的なものであり、ロックキッズたちが彼らの作品に反応し始めたのである。当初、大人たちは胡散臭いものを見る目で敬遠しがちだったが、キッズたちは反対に、まるでヒーローショーのキャラクターを見るかのごとくMWAMのその姿を素直に受け入れたのも興味深い。

 思えば日本人は、こういった“キャラクター色”の強いロックバンドにはめっぽう弱いと思う。古くはアメリカのハードロックバンド、KISSが1970年代からここ日本でも熱狂的に歓迎され、21世紀に入ってからもSlipknotのような猟奇的覆面をしたラウドロックバンドが人気を博している。ここ日本でも1980年代には“悪魔界からの使者”聖飢魔IIがお茶の間で受け入れられ、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にまで出場。BEAT CRUSADERSのようなお面からSEKAI NO OWARIのDJ LOVEまで、それぞれスタイルこそ異なるものの、その系譜は現在まで脈々と受け継がれている。そもそもさらに過去にさかのぼれば、日本には伝統芸能の能をはじめ、天狗やなまはげなど地方の行事やお祭りなど、“何か別の生き物などに変身し、その生き物として振る舞う”行為は必要不可欠なもの。MWAMの場合は(メンバーの言うことを鵜呑みにすれば)厳密には“その生き物として振る舞う”とは異なるのかもしれないが、その“人間ではない何か”だったからこそ、アーティストにリスナー自身を投影するのとは違う、純粋なエンタテインメントとして受け入れることができたのではないだろうか。

      

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