SA、初の野音ワンマン成功を支えた“コムレイズ”たちーー映像作品で両者の絆を振り返る

SAがコムレイズと築いた“誇り高き絆”

 1年前となる2015年7月11日。SAというバンドが生まれてから30年、現メンバーで14年目、初となる日比谷野音でのライブ『BRING IT ON FINAL<結> 2015.7.11 日比谷野外大音楽堂』。伝説の1日を追った映画『劇場版SA サンキューコムレイズ』が待望のDVDリリースになった。

 一部からは無謀とまで言われたこのSAの挑戦を支えたのは“コムレイズ“だった。

誇り高きコムレイズとの絆

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 誇り高きSAファンをコムレイズと呼ぶ。彼ら彼女らはSAにとって、ファンであると同時に仲間であり、戦友でもある。「オレたちを男にしてくれ」TAISEIの言葉に応え、ともに闘うべく全国各地から野音に結集した。ライブの成功はコムレイズなくしては成しえなかったものだ。

「涙と笑顔の決起集会だったよ。お客さんの泣きっぷりがハンパなかった。『え?! これパンクバンドのライブ?』っていうくらい、人目もはばからず泣いてるんだよ。そんな彼らを宝物だと思えた」(NAOKI/Gt.)

「DVDにする予定だったんだけど、監督の意向で『どうしても映画にしたい』というところから始まり、編集を進める中で、コムレイズ目線からの映画も作りたいと。全国から集まった『SAを盛り上げてやる、絶対に野音を成功させてやる』という想いと、ライブ中に泣いてる彼らを見て『コムレイズから見た野音の映画も作るべきだ』という気持ちになったみたいで」(TAISEI/Vo.)

(『SAが結成30年を越えてメジャーデビューした理由「オレらは音楽で若い世代にビンタしていきたい』より http://realsound.jp/2016/01/post-5931.html

 本作は『〜UNDER THE FLAG〜(主演:SA/共演:コムレイズ)』と『〜UNDER THE SKY〜(主演:コムレイズ/共演:SA)』という二部構成になっている。SAが野音に挑む姿と同等に、コムレイズの熱き想いも収められているのだ。

 ステージ後方にはSAのバックドロップを取り囲むように、全国のコムレイズが作ったフラッグが無数に掲げられている。まさにSAとコムレイズが作り上げた絶景である。

 SAメンバー4人とともに歌い、叫び、笑って、泣いて、拳を突き上げる。それぞれの思い想いを胸にいろんな表情でステージを見つめるコムレイズ。鋲打ち革ジャンに逆毛、気合いの入ったパンクス、若い頃はヤンチャしてたんだろうなという人の良さそうな中年男性、娘と一緒に来たお母さん、メンバーと同年代からはたまたその上の年代、そして10代の若者たち、……コムレイズは本当にさまざまで幅広い年齢層がいる。

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 SAのような激しいロックンロールは、メインストリームの音楽や大衆性とは少し離れているものだ。かつて、ロックは若者の音楽なんて言われた時代もあったし、不良、ワルのイメージもあった。とくにパンクロックは反抗といった要素も強い。だが、情報に溢れた現代社会、多様化する音楽シーンの中ではロックの姿も少し変わってきた。

 だけど、SAはちっとも変わっちゃいない。リーゼントのTAISEIも、スパイキーヘアのNAOKIも、オールド・スクールのロックアイコンのままだし、情熱も闘志もますます研ぎ澄ませている。自分たちを“オッサン”と言いながらも、ロックに初期衝動を奪われたあの10代の頃と何も変わってはいない。そんな生き様、変わらずの信念を貫くSAが羨ましく思えたりもするのだ。そして、普段口にはできないけど、誰もが心のどこかに持っている情熱に揺さぶりをかけてくる。

 「“DON’T DENY,GIVE IT A TRY!!” 否定をするな、受け入れろ」SAが結成当初から掲げるスローガンだ。他者を非難することも批判することもしない、まずは受け入れてみて、そして自分で判断する。キレイごとも変にカッコつけた言葉も口にしない、ストレートなSAの歌と音楽は社会に対する不安や不満、日々の生活での卑屈な落ち込みさえ、ブッとばしてくれる。メソメソしてたら胸ぐら掴んで叱咤してくれる、悩んでいたら尻を引っ叩いてくれる、そんな存在なのだ。

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