太田省一『ジャニーズとテレビ史』第二十回:ジャニーズと料理
キスマイ横尾、SMAP、TOKIO、V6……ジャニーズ「料理男子」が増えている理由
また、同じ料理でも、一味違った路線で存在感を示してきたのがTOKIOだ。
元々松岡昌宏などは料理上手で知られているが、『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の「DASH村」や「DASH 0円食堂」では、食材をTOKIOのメンバーが自分たちで調達し、料理する。特に「DASH村」などでは、食材となる作物の栽培からTOKIOのメンバーたちが携わる。醤油など調味料も自分たちでつくるなど、料理は自給自足生活の一環になっている。そうした手作り感が、大きな魅力だ。
同時にそこでは、仲間同士がワイワイやる楽しさやまったり感も醸し出される。それもまた、料理という共同作業ならではの魅力だ。同じTOKIOの国分太一がプロの料理家とともに料理をつくって食べる『男子ごはん』(テレビ東京系)も、日曜の午前という放送時間もあり、そんな楽しさやまったり感が味わえる番組だ。
手作り感という意味では、V6・長野博が出演する『晴れ、ときどきファーム!』(NHK BSプレミアム)も忘れるわけにはいかない。長野が女優の滝沢沙織、芸人の森三中・村上知子とともに古民家と畑を借りて野菜を無農薬で有機栽培し、それを食材にした料理をつくる。調理師、野菜ソムリエの資格を持つ長野の食に対する造詣の深さが発揮される番組だ。
また「料理男子」的ジャニーズの活躍の場は、主婦層が見るようなお昼頃の情報番組にも広がっている。
『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)のHey! Say! JUMP・八乙女光もそうだが、ここでの代表格はV6・坂本昌行だろう。『ノンストップ!』(フジテレビ系)で毎週金曜に放送されている「One Dish」は、開始から4年以上続き、すっかり長寿コーナーになった。
このコーナーでは、坂本がスタジオで料理するだけでなく、その回のメニューを決めるために自ら街の商店街へとロケに出かけ、食材を買うパートが前半にある。実家が八百屋という坂本が食材についての知識を披露したり、商店の人々となごやかに会話を交わしたりしながら街歩きをする。
そうしたところからは、「カッコよさ」だけではない「優しさ」が伝わってくる。買い物をしながらメニューを考え、夕食の献立や酒の肴になるような料理をつくる。まさに主婦の日常の仕事、時には面倒に感じるかもしれないようなことを坂本がさらっと代わりにやってくれるかのような、そんなコーナー構成の妙が感じられる。