キスマイ横尾、SMAP、TOKIO、V6……ジャニーズ「料理男子」が増えている理由

 時代とともに、ジャニーズに求められる魅力も変わってくる部分がある。

 男性アイドルが恋愛感情を掻き立てるような憧れの存在、王子様的存在であることを求められる点は、昔から変わらない。ジャニーズは、ずっとその象徴であり続けている。

 その一方で、現在のアイドルは、ますます身近な存在、親しみを感じる存在であることを求められるようにもなっている。それはジャニーズも例外ではない。そのなかで、キッチンに立つ男子というような、男らしさの固定観念にとらわれないジェンダーレスな魅力もひとつの要素として加わってきた感がある。

 料理はその両方のニーズを満たしてくれる。プロも顔負けの鮮やかな腕前で豪華な料理をつくって「カッコよさ」を感じさせることもできれば、疲れた恋人がほっとするような料理をさりげなくつくって「優しさ」を伝えることもできる。しかもそうした魅力が、わざとらしくなく自然ににじみ出るところが料理の持つ良さだろう。「料理男子」的ジャニーズの増加は、そうしたファンのニーズの多様化の反映ではなかろうか。

 料理番組というジャンル自体も、お堅い料理番組のはずの『きょうの料理』(NHK)で平野レミが奇想天外なレシピや調理法を披露して話題になるなど、最近はエンタメ化がいっそう進んでいる。その流れのなかで、ジャニーズにとっても料理はこれからさらに面白い展開が望める分野になりそうだ。

■太田省一
1960年生まれ。社会学者。テレビとその周辺(アイドル、お笑いなど)に関することが現在の主な執筆テーマ。著書に『中居正広という生き方』『社会は笑う・増補版』(以上、青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』『アイドル進化論』(以上、筑摩書房)。WEBRONZAにて「ネット動画の風景」を連載中。

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