黒瀬圭亮と上木彩矢が語る、UROBOROSが目指すもの「ワクワク感がエンタテインメントの真髄」

UROBOROS 黒瀬&上木へ初取材

 黒瀬圭亮(Composer, Manipulate)を中心に、上木彩矢(Vo)、大村孝佳(G)、中村泰造(B)、笹渕啓史(Dr)というさまざまなジャンルで活躍する凄腕ミュージシャンたちによって結成されたプロジェクト・UROBOROS(ウロボロス)。2015年9月に発表した1st EP『ANOTHER ARK』に続く待望の新作『ZODIAC』が、4月20日ついにリリースとなった。ダークファンタジーをテーマに展開される楽曲の世界観は、前作以上に攻撃的なヘヴィサウンドで表現。特に今作ではヴィジュアル面からも大きなこだわりが感じられ、アートディレクションにDIR EN GREYやthe GazettEなどで知られる依田耕治、リードトラック「ZODIAC」のMV監督にBABYMETALやkalafinaなどを手がける多田卓也を起用するなど、コンセプチュアルな作品に仕上がっている。

 リアルサウンド初登場となる今回のインタビューでは、メンバーの黒瀬圭亮と上木彩矢に結成から現在に至るまでの経緯、そしてこだわり抜いた『ZODIAC』の魅力、4月29日に控えた初のワンマンライブ『THE ARK OF ZODIAC』についてじっくり話を聞いた。(西廣智一)

「まだ作り終えてない、作り足りてない」(黒瀬)

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黒瀬圭亮(Composer, Manipulate)

──最初に、UROBOROS結成の経緯を改めて聞かせてください。

黒瀬圭亮(以下、黒瀬):僕が前にやっていた音楽プロジェクトが終了して、自分が作りたい音楽はもう作り終わったのかなと自問自答したときに、「まだ作り終えてない、作り足りてない」と再確認できたので、それを作るためにUROBOROSを結成しました。で、ダークファンタジーというテーマを決めて、それに沿った世界観の作品作り、アーティスト活動をしていけたらなと思ったんです。

──そこから、そのテーマに合ったメンバーを探していこうと。

黒瀬:はい。まず笹渕(啓史)さんに声をかけて。もともと知り合いだったんですけど、酒の席で「こういう音楽をやりたいんです、こういうサウンドでこういうものを作りたんです、どうかドラムを叩いてくれないですか?」とお願いしたら、ちょっと悩んでましたけど「いいよ」と言ってくれました。で、グルーヴ感をすごく大切にしたいので、笹渕さんとリズム隊として一番合う人をと考えて(中村)泰造さんにお願いして。もうこの2人が揃った時点でバンドとしては相当強力なので、そこに乗る上モノ……ギタリストやボーカリストをどうしようかと考えたときに、まず大村くんを思いついて。以前、大村(孝佳)くんがLIV MOONでギターを弾いていたのをライブで観たことがあって、そのときから強烈な印象があって、いつか一緒に音楽制作をできたらいいなと一方的に片思いしていたんです。そこでぜひ力を貸してほしいとお願いしたら快諾していただいて。さらにボーカルに関しては最初から女性ボーカルにしようと考えていて、このメンバーに引けを取らずに中心に立って表現できるディーヴァとなる人って一体どんな人がいるんだろうと悩んでいたら、たまたまポニーキャニオンのディレクターさんから上木彩矢という逸材がいると聞きまして。

上木彩矢(以下、上木):ふふふ(笑)。とんでもないです。

黒瀬:ホントにホントに。もちろん僕も上木彩矢というアーティストの存在は知ってましたし、どういうサウンドをやっているのかも知ってました。そこでいろんなタイミングが重なって、一緒に活動することができたんです。

上木:私はちょうど3年ぐらい音楽活動を休止しているときで、その間ミュージカルとか舞台をやらせていただいてたんです。で、そろそろ音楽をやりたいなぁと思っていたときに声をかけていただいたので、ちょっと運命的なものを感じまして。サウンド的にもこれから挑戦してみたいと思っていたようなものだったので、これはもうぜひともとすぐにお返事をしました。

「ワクワクを感じる瞬間がエンタテインメントの真髄」(黒瀬)

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──皆さんそれぞれいろんなプロジェクトやバンドに参加している、忙しい方々ばかりじゃないですか。そういう人たちのタイミングが合うというのもまた奇跡ですよね。

上木:そうですよね。

黒瀬:合うというか、合わせるしかない感じなんですよね(笑)。

──それにしても最初にこのメンバーでUROBOROSを始めると知ったとき、正直僕はそのサウンドが想像できなかったんですよ。

黒瀬:そうだと思います(笑)。なんだかんだいって、それぞれジャンルがちょっとずつ違いますから。

──さらにダークファンタジーというコンセプトを聞いて、どういうものが出来上がるのかとワクワク感は強まりました。

黒瀬:そのワクワクを感じる瞬間というのが、エンタテインメントの真髄というか。好きなマンガや映画、ゲームの発売日を待つじゃないけど、そのワクワク感みたいなものを少しでも味わってもらえたら、それは作り手として嬉しいですよね。

──UROBOROSの楽曲はシンフォニックメタル寄りのサウンドですけど、メロディ含めてとっつきやすさ、聴きやすさが強くて。

黒瀬:それは本当に細かいところにまでみんなが気を遣ってくれてるからこそで。音作りやアレンジ、演奏もそうですし、歌ってもらうときもサビに入るまでのワンワードまで考えて歌詞を書いてもらっているので、そこらへんも相まって、いい意味でキャッチーさとマニアックさが混在できてるんじゃないかなと思います。

──おっしゃるように、一聴してマニアックなサウンドなのに実はポピュラリティもしっかり存在する、幅広い層の音楽ファンが楽しめる作品になってますよね。歌詞の話題が出ましたけど、上木さんは作詞の際に歌詞のテーマや内容について黒瀬さんと共有しているんですか?

上木:黒瀬さんとは曲をいただいた段階で全体のイメージをやり取りするんですけど、そこから先は私のフィルターを通して物語を作らせてもらってます。

──UROBOROSの楽曲は英詞と日本語詞が混在していますが、そこは意図的なんですか?

上木:はい。日本語って素晴らしいじゃないですか。ひとつの単語にいろんな意味があるし響きも美しいと思うんですけど、それとはまた逆に、表現のうえでは英語にも英語の良さもあって。なので曲によって両方を使いこなせるほうがもっといいものが作れるんじゃないかと思うんです。UROBOROSではそういった使い分けをして、サウンド的にも歌詞の世界観的にもよりいいものを追求していきたいということが一番の理由ですかね。もちろんそこには、海外の方にも聴いてもらいたいという意味も込められているんですけど。

──英詞で歌っている中に急に日本語詞が入ってくると、ハッとさせられるんですよね。

上木:そうですよね。でもレコーディングは大変なんですよ。英語と日本語って口の開け方とかアゴの使い方とかがまったく違うので、今もこの前のレコーディングで噛んだ舌が治ってなくて(笑)。しかもネイティブに近づけるために英語の発音を頑張りすぎたために、「FROM HELL」のレコーディングでは「日本語の発音がおかしいんだけど?」って言われてしまいましたから(笑)。

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