GALNERYUS『UNDER THE FORCE OF COURAGE』&『“JUST PRAY TO THE SKY”TOUR 2016』インタビュー
GALNERYUSが“100%ヘヴィ・メタル”であり続ける理由「自分が聴きたいものをやる」
1年に1枚、年によっては2枚ペースというハイペースでリリースとツアーをくり返した結果、王道ヘヴィメタル・バンドとして確固たるポジションを築き、かつさらにツアーの動員やセールスを伸ばしているGALNERYUS。00年代デビューで、ヘヴィ・ロックやミクスチャーに触れず純然たるメタル魂を(しかもすごいハイ・クオリティで)音にし続け、支持を集め続けている稀有なバンドである。
12月にリリースした、バンド初のコンセプト・アルバム『UNDER THE FORCE OF COURAGE』を携えた全国ツアー『“JUST PRAY TO THE SKY”TOUR 2016』も3月からいよいよスタート。現在のGALYNERYUSの考え方・創作のしかたをテーマに、バンド創始者であるギターのSyuと、2009年に電撃加入して世間を驚かせた(でもとうにすっかりバンドになじんだ)ボーカルのMasatoshi“SHO”Onoに話を聞いた。(兵庫慎司)
「風景が頭のなかにしっかりと浮かぶ、映画的なものを作りたい」(Syu)
──最新作をコンセプト・アルバムにしようと考えたのは?
Syu:GALNERYUSというバンドを結成して、いろいろメンバーチェンジがありましたけど、現体制になって、バンドに対する自信であったりとか、各メンバーがすばらしいスキルを持っていて、かっこいい演奏ができたりとか……本当に心の底から胸を張れるバンドになったな、と、2009年にこの布陣になってから思うんですよね。
で、僕としては、バンド創設の時から、こういうコンセプト・アルバムは作りたいなと思ってて。ファーストからサードまでの3枚は、ちょっとコンセプチュアルな、3部作的なアルバムにしたんですよね。で、今回は、完全にストーリーを作りこんで、ジャケットとかもひとつの物語になるようなアルバムを作ろうという、ずっとしたかったことが、ようやく今回のアルバムでできたかなあ、という感じです。何枚もレコーディングして、曲作りもいっぱいしてきて、メンバー間の阿吽の呼吸であったりとか、かなりの域まで到達できている今だからこそやるべきだ、というような感じですね。
──では、そもそもなぜコンセプト・アルバムに惹かれるんでしょうね。
Syu:やっぱりメタルバンド、シンフォニック・メタルが好きなのは、聴いていると風景が浮かんでくるようなね……たとえば鎧であったりとか、ソードとかね、そんな戦いの場面が浮かんでくるような音楽だからなんですね。僕はもともと映画をすごく観るんですけど、いつも音楽がすごく映画を盛り上げてるな、と観るたびに思うんですよ。僕もこういうのがやりたいと。まあ、言うてしまえば、映画を作りたいみたいな(笑)、そんな気分でね。
今までは音楽だけに集中してきたんですけど、今回はアルバムのジャケットやインナーに挿絵とかも……すごく風景が頭のなかにしっかりと浮かぶ、映画的なものを作りたい、という思いが常日頃からありましたね。で、タイミングを図っていると、今回になったというような感じですね。
──曲全体の構成とかアレンジとかは、作り上げてからバンドに渡すんですか?
Syu:はい、もう作曲者が練りまくって、ほぼ完成形に近いところまでデモで作り上げて、メンバーに渡していくという感じです。僕とYUHKI(key)のふたりが。
──その、ひとりでアレンジを練りあげていく時に、メンバーがこれを演奏できるのかどうかを、あまり考えずに作ってません?
Syu:ああ。信頼ですね、そこは(笑)。まあ、みんなすごく努力する人なんで、そういう個人のスキルは信用してますね。あと、自分がデモの段階で考えてた演奏に対して、さらにすごいことをやって返してくれるというのも、信頼しているところだし。
──託される側としてはいかがですか?
SHO:もう僕はGALNERYUSに加入して、今年の秋で丸7年経つんですよね。加入の時、冗談半分で、「声をかけてくれたのはありがたいけど、もうハイトーンは疲れるんでイヤだ」みたいな話はしてたんですけど。「大丈夫、大丈夫」って言われて入ったんですけど、全然(笑)。でもSyuくんの頭の中に流れてるメロはこうなんだ、YUHKIさんの頭の中に流れてるメロはこうなんだ、GALNERYUSとしてこれを再現するんだ、ということで歌うんですけど……大変は大変ですよね(笑)。まあ、GALNERYUSは修行の場なので。
──作曲者としては作りやすいですか?
Syu:というか、自分の曲作りに対して……上から目線で言いますけど、すごく相性のいい声というか。昔は、曲を作って歌ってもらうと「あれ? なんかちゃうな」みたいに思うことがけっこうあったんですけど、小野(SHO)さんの場合は、僕はそれをまったく感じない。
──じゃあ思い出すと、加入が決まった時は「やった!」と?
Syu:いや、もう! だって僕、ファンでしたからね、普通に(笑)。それがまさかね、バンドに入ってくださるなんて思ってなかったですけど。だから、もともと知ってる時間が長かった、というのも、曲作りに反映されてる感じはありますね。「小野さんならこう歌うだろう」みたいな。
SHO:まあ僕も、歌メロを作ろうっていう時に、「ほんとはこういうメロディにしたいんだけど、小野はこうは歌えないから違うのにしようか」みたいなことは、なるべくないようにがんばりたいなと思ってるんですけど、ボーカリストとしては。
Syu:ないですないです!