SECONDWALL・YUKA×関和亮×岡崎能士が語り合う、音楽と映像とデザインの“閃き”

SECONDWALL・YUKA×関和亮×岡崎能士鼎談

 2009年に結成し、2013年には音源リリースなしで『SUMMER SONIC 2013』へ出演を果たした5人組ロックバンド・SECONDWALLが、4月13日に3rdミニアルバム『OVER』をリリースした。同作には、SEKAI NO OWARI、PerfumeなどのMV、ジャケットを手掛けている関和亮氏をアートディレクターに、GReeeeN、ケツメイシなどのアレンジやサウンドプロデュースを務めるnishi-ken氏をサウンドプロデューサーとして迎え、キャラクターデザインは、漫画『AFRO SAMURAI』の作者、岡崎能士氏が担当するなど、大物クリエイターが集結。ラウドパンクに影響を受けたソリッドな音像と、ポップなサウンドがバランス良く配置されている意欲作に仕上がっている。リアルサウンドでは今回、バンドのボーカリストであるYUKAと、関氏、岡崎氏による鼎談を企画。3人の出会いから作品の完成までのエピソードや、各ジャンルのクリエイターごとに違う“閃き”の方法などについても語り合ってもらった。(編集部)

「ある種何でもできちゃうという楽しさも感じていた」(岡崎)

――まずはリアルサウンド初登場ということで、SECONDWALLのこれまでについて訊いていきたいのですが、YUKAさんはバンド立ち上げメンバーではなく、途中で加入したボーカリストなんですね。

YUKA:はい。加入以前は男性ボーカルのバンドで、キーボードとコーラスをやっていました。そのあと、自分がフロントに立つバンドも経験して。それから、もともとSECONDWALLでボーカルをしていた子が、私の抜けたバンドに入ったということもあり、ボーカル交換みたいな形でSECONDWALLに加入しました。

岡崎能士(以下、岡崎):ああ、入れ替わる感じだったんだ(笑)

関和亮(以下、関):ややこしいね(笑)。

――SECONDWALLの音楽は、ラウドやメロコアを下敷きにしたポップロックという印象ですが、これまで所属していたバンドも近い音楽性でしたか。

YUKA:そうですね。海外のポップパンクやメロディックパンクなどを聴いていて、その系譜にあるようなバンドたちでした。SECONDWALLも最初は全曲英語詞だったので、すんなり入ることができましたね。

――実は『SUMMER SONIC 2013』でステージを一度見ているのですが、そのときはより激しいテイストのバンドという印象でした。そこから現在の形になったのは、メンバーの変動も大きい?

YUKA:そうですね。APGくんの加入は大きいと思います。もともと私とAPGくんは、アイドルソングなどのポップス寄りの音楽が好きだったこともあったのですが、その趣向をバンドで出すのには抵抗があって。でも、今回もリアレンジで収録している「君の世界を」ができたことをきっかけに「1回振り切ってみよう」という気持ちになりました。

――曲作りに関しては、APGさんとYUKAさんでどのように分担を?

YUKA:私がギターか鍵盤で、ざっくりしたでコードの流れとメロディを作って持っていくと、APGくんが打ち込んでくれて、それが形になっていくという流れですね。

――今回リリースする『OVER』のタイミングから、関さん、岡崎さん、nishi-kenさんという3人のプロフェッショナルがバンドをプロデュースするようになりました。岡崎さんと関さんは、バンドの第一印象はどうだったと記憶していますか?

岡崎:僕は2015年の初夏に、横浜のライブハウスで演奏を見たのが初めての出会いで。デザイナーとして活動する中で、音楽系の仕事はあまり多くないのですが、久しぶりにそういったお話をいただけて「何か面白そうだから、やりたい」と思いました。

関:僕の場合は、SECONDWALLのアートディレクションについて依頼された段階で、まだ核になるような音源が揃っていなくて。だからこそ「これからどうなるのだろう」というワクワクとともに、ある種何でもできちゃうという楽しさも感じていました。

YUKA:私、もともとお二人の作品が好きだったんですよ! だからこうして一緒に作品を作れることになって嬉しいです。15歳のときはRIZER(RIZEファンの総称)だったし、サカナクションのMVに凄く憧れていたので。

――岡崎さんはSECONDWALLのどこに「面白さ」を感じたのでしょう。

岡崎:初めてライブを見たとき、YUKAちゃんが演奏中に顔を全然見せていなくて。前髪で顔が隠れていたんですけど、それがミステリアスに映って、「何であんな顔を隠すんだろう」と興味が沸いたことを覚えています(笑)。

――関さんは「何でもできちゃう」という状況下において、まずは何をコンセプトの軸としていきましたか。

関:岡崎さんと一緒にやるということが前提なので、まずは彼の絵がどうなるかというところでしたね。それがあったうえで、アートワークなどのビジュアルイメージを決めていくという算段でした。今のキャラクターって、出てくるまでに結構時間が掛かりましたよね。

岡崎:そうですね。イメージはすぐに降りてきたんですけど、「これでいいのかな」とすごく悩んで。手書きのようなタッチにするかどうかや、キャラクターの大きさやイメージも変化してきました。

――そういえば、このキャラクターの「前髪で顔が隠れている感じ」って、まさに岡崎さんがSECONDWALLを見た第一印象ですよね。

岡崎:そうなんです。ここを活かさない手はないと思いまして(笑)。

YUKA:最初に打ち合わせをしたとき、岡崎さんが口頭で言っていたイメージが、私の思っていたSECONDWALLの性格に近くて。実際にキャラクターを見て、何も色付けされていない状態というか、素の自分を表現されたみたいで、すごいなと思いました。

――現段階ではこのキャラクターに対して、設定などを行なっていないぶん、これから性格付けをしていくわけですよね。

岡崎:はい。そこは関さんとも話しているのですが、まだ明確なものは決めていなくて。今のところ、自分のなかでは「そんなアニメキャラのようなしっかりしたものは必要ないかな」という気になっています。

関:名前もないですからね。「SECONDWALLくん」なのか「SECONDWALLちゃん」なのかもわからない。

YUKA:あれは「くん」じゃないんですか?

岡崎:そこらへんもまだ決めてないんですよ。

関:あと、フラッシュアイディアで話しているのは、楽曲だって毎回違うものが主人公になるわけだから、長髪のときもあれば、怪獣みたいに大きくなっているものでもいいよね、ということ。そういう可能性も踏まえて、手描きタッチの小さいキャラクターという原案を上手く活かしていければと思います。

岡崎:キャラに関しては、こうして周りの人たちと話したりする中で、自然と固まっていけば面白いと考えています。

SECONDWALL “恋の終わりに、桜舞い散る”MV

――関さんの手掛けるMVも、取材時点(4月1日)ではまだ完成していませんが、どのようなものを作る予定ですか。

関:今はメンバーの撮影をしていて、それを編集する段階です。MVを撮った「恋の終わりに、桜舞い散る」は、僕が監督しているドラマ『明日もきっと君に恋をする。』の主題歌で。そんなことってなかなかないので、2つをリンクさせたものを作ろうと考えています。ドラマも曲も3月の終わりをテーマにしたものなんですよ。

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ドラマ『明日もきっと君に恋をする。』の一場面。
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――ドラマは主演に真剣佑さんと、仁村紗和さんを起用していますね。

関:仁村さんは僕から提案した方で、過去にお仕事したことがあったんですけど、プロデューサー陣にかなり刺さったみたいですね。真剣佑さんはとにかくイケメンで驚きました。MVの撮影にはメンバー全員にシルエットで登場してもらっているのですが、どう演出しようか悩んだ結果、ドラマのテーマが「1日をずっと繰り返している」というものだったので、映像をループさせようと決めたんです。メンバーには苦労をかけましたが、カメラの位置を固定しながら、1回演奏したら一歩前にでてまた演奏というのを1曲通して10回繰り返してもらって。

YUKA:太ももが壊れるかと思いました。

一同:(笑)

YUKA:最後の方、本当に重いものが持てなくなって。毎回、撮影で移動する度に全部アンプやドラムセットを1個ずつ移動していたので……。みんなボロボロでした(笑)。

関:基本的にそういうことはあまりしないんですけど、せっかくだし、若いうちにやってもらおうと思いまして。

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