fhánaが語る、2016年のポップミュージック論「日本の市場を大事にしつつ、より広い世界に音楽を届けていく」

fhánaが語る結成の経緯とアニソン論
fhána

 

「アニソンを作り続けるなら、アニメ側から必要とされる存在であり続けなければ」(佐藤純一)

――ちなみに、同世代でシンパシーあるアーティストはいるんですか?

yuxuki:同じようなポジションのアーティストではなかなかいないかな。

kevin:仲の良いアーティストはいますけど、いわゆる同じ方向を向いていてシンパシーを感じるっていうのとはまたちょっと違いますね。

yuxuki:音がすごいかっこいいなと思うのはGalileo Galileiですね。特に次の新譜はやばいなと。アークティック・モンキーズ、The 1975等のプロデュースで世界的に知られるマイク・クロッシーなどがエンジニアで参加しているんですよ。曲作りから音作りまで、意識が外に向かっているなと感じています。

kevin:サウンドが完全に洋楽じゃんって思いました。あれをあの年齢でやっているのがすごいなと。

――fhánaの今回のカップリング曲「Appl(E)ication」は、どちらかといえばそんなテイストな作品ですよね。

kevin:この曲は、僕がfhána結成前によく使っていた手法を意識して作りました。サンプリングの多用ですね。音をぶったぎってパズルみたいに並び替えて音程も変えてそれによってメロディーをつくる。で、僕の足りない部分を他のメンバーに、もっとポップスとして成立するような助言をもらいながら完成させました。

佐藤:fhánaは、工房みたいな感じですよね。チームワークを大事にしてるかもしれません。

――それはとても今っぽい発想かも知れませんね。IT業界とかもそんな運営の仕方ですよね。ちなみに、とてもアンテナを張られているチームだと思うのですが、fhánaにとって2016年、気になるキーワードはありますか?

kevin:数年前からはじまっている流れではあると思うんですけど、音楽自体よりも音楽を通した体験に重きが置かれている時代ですよね。定額制音楽配信がはじまったこともありますけど、コピーができるデータにあんまり価値がなくなった。それこそお金を払ってもらえる時代ではないというか。だからライブの大切さを痛感しています。

yuxuki:昨年だけでみれば、日本では音楽定額制が思ったより広まらなかった気がしていて。ライトユーザーに定着しなかったというか。気になるのはYouTubeですね。でも、テリトリーを意識されているメーカーの考え方だと、海外からの閲覧にブロックがかかったりするんですよね。

佐藤:YouTubeに、国別にブロックがかかってる問題もそうなんですけど、グローバル化以降の資本も情報も人間関係もなんでも繋がろうという時代から、インターネット上を含めて、ある程度は閉じて自分たちのコミュニティーを守ろうという方向へ動いてますよね。そんな時代において、どんな風に音楽を届けたらいいのかなとは考えています。今成功している人たちってものすごいメジャーな勝ち組と、すごい狭い範囲だけど少数のコアなファンがいてその中で独自にまわっているみたいな人たちと、両極化していますよね。これまではすごい勝ち組がいて、その恩恵に預かるような形で中間層が存在できていたけど、今はその中間層を維持するのが難しくなってきたと。fhánaとしてはアニソンを作り続けるならまずアニメ側から必要とされる存在であり続けなければならない。その上で、同時により広い世界に音楽を届けていきたいんですよね。だから良い音楽を作らなきゃなと思っています(笑)。

(取材・文=ふくりゅう(音楽コンシェルジュ/Twitter))

fhána『虹を編めたら』
fhána『虹を編めたら』

■リリース情報
『虹を編めたら』
発売:2016年1月27日
価格:¥1,200(税抜)
【収録曲】
1. 虹を編めたら(TVアニメ「ハルチカ~ハルカとチカは青春する~」OP主題歌)
 作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
2. Appl(E)ication
 作詞:林 英樹 作曲:kevin mitsunaga 編曲:fhána
3. 虹を編めたら(Instrumental)
4. Appl(E)ication(Instrumental)

■配信情報
https://itunes.apple.com/jp/artist/fhana/id516817774

■リリースイベント
『アーバンドック ららぽーと豊洲 presents「SeaSide Fes Next ’16 ~WINTER~」』内でイベント開催決定
日時:2016年1月30日(土) 11:30~17:30 ※fhánaは、13:00頃出演予定。
会場:アーバンドック ららぽーと豊洲 シーサイドデッキメインステージ ※観覧無料
公式サイト:http://www.seasidefesnext.com/

■オフィシャルサイト
http://fhana.jp/

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