つんく♂の総合P“卒業”後、ハロプロはどう変化する? 節目の楽曲と次世代作家を分析

 そして、加入のきっかけこそBerryz工房と同時期であり、現在はハロプロを名実ともにけん引する立場となった℃-ute。今年6月の結成10周年に先駆けてリリースされたトリプルA面シングルの収録曲『The Middle Management〜女性中間管理職〜』(2015年4月1日発売)では、つんく♂が作詞のみ手がけている。

 メンバー内最年長であり、ハロプロとグループ双方でリーダーを務める矢島舞美すら23歳と比較的若い印象もあるが、先輩や上司、後輩との間に挟まれる女性ならではの日常や葛藤を捉えた歌詞の世界観は、ハロプロというグループだけではなく、現役のアイドル達ですら多くが“憧れ”と口にする存在としての、℃-uteならではの立ち位置から垣間見える説得力も感じさせられる。

 さらに、リリース時期からの推測とはなるが、ハロプロのそもそもの源流といえるモーニング娘。’15にとって、つんく♂ならではの魂が名実ともにしっかりと注ぎ込まれていたのはトリプルA面シングル(2015年4月15日発売)に収録された『青春小僧が泣いている』と『夕暮れは雨上がり』かと思われる。

 双方ともにつんく♂自身が、作詞と作曲をたがいに手がけた楽曲。昨年10月の道重さゆみ卒業、加えて12期メンバー加入後初のリリースであり、グループの新たな局面への決意も伺わせる楽曲だが、『青春小僧が泣いている』は、日本古来のいろは歌を織り交ぜた独特の言葉遊びを感じさせつつ、途中、ブレイクを挟みつつ展開されるメロディがあるからこその力強さも漂わせる。

 対して、『夕暮れは雨上がり』は新しい環境へ飛び込む場面にみられるであろう戸惑いや不安を匂わせつつ、優しく傍で語りかけるように心を奮い立たせてくれる楽曲。イントロから曲中にかけて流れ続けるピアノの音色が印象的で、MVやステージでは、10期メンバーの佐藤優樹が魅せる、鍵盤を指先で“奏でる”ような振り付けも目に焼き付く。

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