milet、国内外に羽ばたいた屈指のボーカル表現 『レコ大』最優秀歌唱賞を経てさらに奔放な2025年へ

milet、『レコ大』経て奔放な2025年へ

 12月30日に放送された『第66回 輝く!日本レコード大賞』(TBS系)でmiletが最優秀歌唱賞を受賞。日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)主題歌の「hanataba」を披露し、素晴らしい歌声を届けてくれた。今年デビュー5周年を迎え、ライブ、リリースを含め、さらなるスケールアップを果たしたmilet。今回の受賞により、際立った個性と豊かな表現力を兼ね備えたボーカルに改めて注目が集まっている。

 まずはmiletの2024年の活動を振り返ってみよう。まず1月はEP『Anytime Anywhere』を発表。表題曲「Anytime Anywhere」(TVアニメ『葬送のフリーレン』エンディングテーマ)をはじめとするタイアップ曲4曲を収録した本作は、彼女の音楽性と歌の表現が大きく広がっていることを示す作品だった。

milet「Anytime Anywhere」MUSIC VIDEO (TVアニメ『葬送のフリーレン』エンディングテーマ)

 そして3月には、大阪城ホール、横浜アリーナで初のアリーナ公演『milet 5th anniversary live “GREEN LIGHTS”』を開催。この公演タイトルは、2020年春に行われる予定だったデビュー後初ツアーと同じ。約4年を経て、コロナ禍で中止になってしまったツアーへの想いを昇華させたというわけだ。「inside you」、「Who I Am」、「絆ノ奇跡」、「Anytime Anywhere」などのヒット曲、代表曲を網羅したセットリストを展開。バンドセット、DJセット、アコースティック編成まで幅広いアレンジを取り入れたステージングも含め、5周年のアニバーサリーにふさわしいライブだったと言えるだろう。

 さらに8月から10月にかけてキャリア史上最大規模・19都市21公演のホールツアー『milet live tour “stairs” 2024』を全国約5万人を動員して完遂した後、11月から12月初旬にかけて初のアジアツアー『milet Asia Tour 2024』を開催。香港、ソウル、上海、台北で行われ、各公演ともチケットは即完売。ライブも大盛況となり、国内人気をさらに高めている中、アジア各国での人気ぶりも改めて証明した。

 6月にリリースされた「hanataba」も、2024年のmiletを象徴する楽曲だろう。日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)主題歌として制作されたこの曲は、miletと音楽プロデューサー・蔦谷好位置のコライトによるミディアムバラード。繊細にして美しいピアノのフレーズ、〈大嫌い 嘘じゃない〉というラインから始まる、アンビバレントな感情を表現した楽曲だ。

 “大嫌い”と“大好き”、“正しい”と“誤り”、“正義”と“悪”。これらの対立項は、じつは表裏一体の概念でもある。大切な人に“大嫌い”と“大好き”の両方の気持ちを向けてしまったり、一つの物事に対して、何が正しくて、何が間違っているのかわからなくなるということは、誰でも経験があるだろう。

milet「hanataba」MUSIC VIDEO(TBS系 日曜劇場「アンチヒーロー」主題歌)

 中でも印象的なのは、〈強くなれないけど/あなたといるから 怖くないよ〉というフレーズ。強くなりたいと願ってはいても、自分自身の強さには確信が持てない、だけど、あなたと一緒なら進んでいける。あまりにも率直な思いを吐露したこの歌詞こそが、「hanataba」の核心なのだと思う。

 もちろん、ボーカルも類を見ない彼女独特のエッジボイスが活かされ、心に刺さるように入ってくる素晴らしい表現であった。今にも崩れそうなフラジャイルな感情から始まり、楽曲が進むにつれてエンパワーメントされていく。「hanataba」における繊細な声のグラデーション、サビのパートにおける大らかな解放感は、まさにmiletの真骨頂。特に〈あなたと歩いていくと 誓った〉における、ファルセットを交えたボーカリゼーションは絶品だ。

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