つんく♂の総合P“卒業”後、ハロプロはどう変化する? 節目の楽曲と次世代作家を分析

 振り返ると、2014年内から“つんく♂体制”からの変化は徐々にみられた。モーニング娘'14のトリプルA面シングルの収録曲『見返り美人』(2014年10月15日 発売)は、道重さゆみ卒業への想いが込められた曲だが、作詞に石原信一、作曲に弦哲也と、クレジットにつんく♂の名前が刻まれていなかったことに、驚きを口にする声が上がっていた。

 なかでも、中島卓偉によるアンジュルムの『大器晩成』(2015年2月4日 発売)は、特にその変化を象徴すると思える楽曲である。2015年1月2日に中野サンプラザで行われた『Hello! Project 2015 WINTER』での初披露後、生音を基調としたロック色溢れるサウンドに対して、従来とは異なる新鮮さも含めて評価する声も多く聞かれた。

 さらに、今年相次いでデビューを果たした、カントリー・ガールズの『わかっているのにごめんね』(2015年8月5日 発売)では作詞に児玉雨子、作曲には加藤裕介が加わり、こぶしファクトリーの『ドスコイ!ケンキョにダイタン』(2015年9月2日 発売)では作詞作曲に星部ショウを迎えるなど、顔ぶれの変化を感じられる。

 また、新グループへ目を向けると特に感じるのは、従来のイメージとは異なる音の作り方である。元来、モーニング娘。'15に代表されるEDM路線、又は打ち込みによる楽曲が目立っていたが、特に、先にもふれたアンジュルムの『大器晩成』以降は、カントリー・ガールズ、こぶしファクトリーと相次いでメジャーデビューを果たすグループの各楽曲で、とりわけ生音ならではの臨場感も垣間見える。

 ただ、パフォーマンス面ではつんく♂の意思は継承されていて、例えば、「こ」と発音すべきところを「きょ」と言ってみたり、「と」を「つぉ」と発音してみたり、端々では、ハロプロ本来の精神ともいえる“つんく節”が継承されているのも伺い知れる。時間だけはこれからもきっと誰しも平等に進んでいくが、ハロプロらしさを味わいつつ、その変化を受け入れていくのもまた一つの楽しみとなりそうだ。

■カネコシュウヘイ
編集者/ライター/デザイナー。アイドルをはじめ、エンタメ分野での取材や原稿執筆を中心に活動。ライブなどの現場が好きで、月に約数万円はアイドルへ主に費やしている。執筆媒体はWeb『ダ・ヴィンチニュース』『クランクイン!』『ウレぴあ総研』、雑誌『日経エンタテインメント!』など。

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