つんく♂の総合P“卒業”後、ハロプロはどう変化する? 節目の楽曲と次世代作家を分析

 また、昨年の3期メンバー加入や改名。さらに、今年11月の福田花音卒業や新メンバー増員で話題も絶えないアンジュルムは、今ではその前進ともいえるスマイレージ時代の両A面シングル『嗚呼 すすきの/地球は今日も愛を育む』(2014年8月20日)で、たがいにつんく♂が作詞と作曲を手がけている。

 昨年からみられたハロプロの変化、そして、その“節目”をおそらく最も象徴したグループではあるが、改名前、最後のシングルとなった楽曲である。『嗚呼 すすきの』は、ふとした衝動から、愛する人の元を旅立ってしまった女性の話。一時の決意を持ちながらも、未練や後悔を匂わせる世界観は、つんく♂の手がけるハロプロのある種“王道”ともいえる“女性の情念”を、とりわけ感じさせる仕上がりとなっている。

 そして来年、2016年に日本武道館をめざし、現在『LIVE MISSION 220』と題したライブハウスでのツアーを精力的に行うJuice=Juiceは昨年、両A面シングル『背伸び/伊達じゃないのよ うちの人生は』(2014年10月1日 発売)をリリース。ともにつんく♂が作詞と作曲を手がける曲だが、本人が“仕事を制限するようになった”と告白した時期と、ほぼ重なる。

 恋焦がれる少女の心の揺らぎが表現された『背伸び』は、言葉で語るのではなく、あえて単語を並べるのみのパートが耳に強く印象を残す曲。一方、恋人からの嫉妬にやや嫌気の差した女子の日常を描いたように思える『伊達じゃないのよ うちの人生は』は、ステージでの熟成期間を経て満を持してリリースされた楽曲でもあり、パフォーマンスへ真っ向から挑む、グループ自身の決意も匂わせるような作りになっている。

 さらに、ステージへ情熱をかけるハロプロの精神そのものを表すハロプロ研修生は今年、アルバム『(1) Let's say “Hello!”』(2015年2月18日 発売)をリリース。相次いで結成されたカントリー・ガールズやこぶしファクトリー、つばきファクトリーにその精神が強く受け継がれているようにみえるが、同アルバムは、既存グループへの“昇格”を果たしたメンバーの成長も味わえる作品である。

 前進の「ハロプロエッグ」からの改名を経て、既に4年目を迎えたハロプロ研修生。全10曲すべての作詞と作曲をつんく♂が手がけているが、その中でも、強烈な印象を残すのが『おへその国からこんにちは』である。冒頭、こぶしファクトリーのメンバーとなった浜浦彩乃の第一声から耳に残る楽曲で、つんく♂ならではの奇想天外な言葉遊びが随所にみられるほか、ステージでは、へそを見せつけるようなメンバーの振り付けが強く目に焼き付く曲でもある。

 さて、流れるままにつんく♂の“節目”と重なったと思われる、ハロプロ各グループの楽曲を紹介してきた。報道によれば、作詞や作曲には“マイペースで参加する”と伝えられているほか、モーニング娘。’15のサウンドプロデューサーとして、今後も活動は継続するという。改めて時間の経過を意識して楽曲を振り返ってみると、いわゆる“つんく♂節”が失われていくという切なさも込み上げてくる。

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