映画『あっちゃん』公開記念鼎談
ニューロティカ・あっちゃん、元メンバーと語るバンド30年のウラ話 「修豚との共演は5年くらい断っていた」
アツシ「ジャッキーが辞めた理由は未だにわからない」
ーー修豚は自分が抜けたあとのニューロティカを観てどう思った?
修豚:抜けたあとはちょうど、あんまりライブやってなかったんだよね。ロティカ自体は止まってはいなかったんだけど、俺も糖尿で入院とかしてたんでバンドのことは全然忘れていて。それで久しぶりに観たのがジャッキーが抜けるときのライブで、そのときはまたバンドやろうとかは全然思ってなかったから、客観的に観れた。
ーー引退した身で観るみたいな?
修豚:そうそう。「おおーすげぇ、やってんなぁ!」って、ホント軽い気持ちで観てたよ。
ターシ:俺は宮原さんたちが辞めるときに、ジャッキーさんが残るって言ったのを聞いて「ああ! すごい」って思ったよ。この人がいれば何とかなるんじゃないかと。
アツシ:修豚とSHONとアキオが辞めるときに、俺はもういいかなって。幸せが違うベクトルに向かってるし。でもジャッキーはすごいんだよね「お前らもっとやろう」って。俺はあえて止めなかったけど、ジャッキーは「辞めちゃダメだよ!」って言うんだよね。
ーーでもあっちゃんは「去る者は追わず」だから引き止めることは無いんだよね。
修豚:俺はジャッキーとあっちゃんがいれば大丈夫かなって思った。
アツシ:いやいや、曲を作っていたのはあなただったのよ! 俺は曲作れない男で、みんないなくなっちゃって「こりゃマズイなぁ」って思ってたんだけど、ジャッキーはすごく燃えていて。曲をそんなに作れないと思ってたのに、バーっと曲を持って来たのよ。
修豚:俺はジャッキーなら曲を作れると思ってたもん。ちょっと俺のとはタイプは違うんだけどね。
ターシ:ジャッキーさんのセンスの曲だった。それで安心していたんだけど、西荻のスタジオでジャッキーさんに呼び出されて「俺、辞めるんだよね」って聞いたときは、「何言ってんだこの人は?」って思った。(全員爆笑)どいつもこいつも先輩方は人をびっくりさせてさー。でも色々あったみたいで、結構疲れた顔してたから何にも言えなかったのよ。「まぁ、とにかくそういうことだからよ」って、それをただ報告されただけだから、もう止められないんだなって思って。
ーー映画の中でもジャッキーがすごく真面目に話してるしね。
アツシ:修豚とSHONとアキオが辞めた理由はわかるけど、ジャッキーが辞めた理由っていうのは映画を観てわかったの?
ターシ:正直わかんない。
アツシ:わかんないよね。実は俺もわかんない。聞いてないし、あんまり聞きたくもないし。
修豚:映画でははっきりしてないの? 俺、観てないからわかんないんだけど。
ターシ:はっきりとはしてないかな。あの人もわかんないんだよね。すごい良いこと風なこと言うんだけど、結局わかんないんだよ(笑)。
アツシ:30何年付き合いがあるけど、未だにわかんないから。
修豚:あっちゃんとジャッキーは幼稚園から一緒なのにね。しかし、言われてみればわかんねぇな。最近のテンションもわかんねぇ(笑)。
ーーウチの嫁さんもニューロティカ好きだったんだけど、ジャッキーがお気に入りだった。
修豚:ジャッキーは男にも女にも人気あったよ! おかしいんだよ、あれも(笑)。
アツシ:異次元だよね。
修豚:あっちゃんもジャッキーも異次元。俺が一番普通なんだよ。
アツシ:普通だけどね、ちょっとウソっぽい(笑)。
アツシ「共演では昔のニューロティカの曲は一切やらなかった」
ーーその3つのバンドでライブをしたことはないの?
アツシ:ニューロティカが毎年やっている新年会でやったこともあるよ。でも、修豚が30%LESSFAT立ち上げて、いっしょにやろうって言われてたんだけど、5年間ぐらいは頑に断っていたんだ。
ターシ:それは側で見ていてすごく感じたよ。
アツシ:そういう話は何回かあって、お客さんも修豚と俺がやるっていうのは観たいじゃない? でも、「人のバンドから辞めていったヤツとなんで俺が一緒にやらなきゃいけないんだよ」って、自分のメンバーにも30%のメンバーにも言っていた。だけど「厳しい業界」っていう世話になってたイベントがあって、そこで初めて一緒にやった。
ターシ:それは何でやろうと思ったの?
アツシ:厳しい業界には色々お世話になってるから、そこが言うんならって。
修豚:厳しい業界は前から俺らも出てたんだよね。
アツシ:だから30%が出る時には俺達は出なかった。でもそろそろ雪解けかなと思って、ジャッキーのバンドと30%とウチらで東名阪に行ったんだよね。東京は各バンドがちゃんとライブ出来ているけれど、大阪と名古屋は色々大変なこともあるだろうから、大阪と名古屋のお客さんに元気なところを見せてやってよって、ウチのワンマンにゲストで呼んで、オープニングで出てもらった。でも、ウチは昔のニューロティカの曲は一切やらなかったの。
ターシ:意地だね。
アツシ:それと、俺達はこれだけ大阪・名古屋で人気あるんだよっていうのを見せたかったっていうのもある(笑)。
修豚:後から聞いたんだよそれ。俺は逆にロティカとは出来ないと思ってたの。
ーー30%LESSFATからオファーしてたんじゃないの?
修豚:オファーしてたのは、SHONがブッキングしてたから。あとはイベンターとかね。あっちゃんが俺達とやっても何のメリットもないし、まぁ俺は合わす顔もないってのもあるけど、ライブはやりたくないだろうなとはずっと思ってた。頑に断ってたこととかは後から聞いたんだよ。それで「ああ、やっぱそうだったんだな」って。俺ももしバンド辞めたヤツがいたら面白くないと思うから、「やらないだろうなぁ」ってずーっと思っていて。それが誘ってくれて、出てみたらホントに大阪とか名古屋とかで人気があったから「すげぇなロティカ!」って思った。
アツシ:昔の曲をやらなかったのは、みんなが辞めたあとにカタルとナボちゃんが入って、彼らは今まで培ってきた10年を、底辺から始めてたった5年で覆したっていうのがあるから、それを代弁する意味もあった。彼らも最初は「何で修豚じゃないの? 何でジャッキーじゃないの?」って言われ続けてきたんだけど、それを覆したんだよ。
修豚:俺もナボちゃんとカタルにはすげぇ感謝してる。あっちゃんも頑張ってるんだろうけど、あの人達が頑張ってるのが俺はもうありがたくて。
ターシ:1回出来上がったバンドが1人を残してみんないなくなったところに入って、もう1回作り上げたのは本当にすごいよね。あの2人は本当にすごい。
アツシ:そういうパターンはあんまりないよね、日本に。
修豚:それであそこまで持ち上げて行ったからね。
ーー映画を観なかったら、あっちゃんがそういうことを全部やってると思いがちだけど、実際には全然違う。それでまた改めてロティカのすごさがわかった。
アツシ:それでも何年も色々あったよ。カタルは速い曲を作らないし、ナボちゃんは速いの叩きたくないとか。スカパンクのシーンに飛び込みたい時も、彼らはキャリアがあるからそんなところには行きたくないとかさ。ライブをやる前に色々なことを説得するのにすごい力を使ったよ。
ーー曲が速いってことにはこだわりがあるってことだよね?
アツシ:俺はね。いつも速い曲を作ってくれって言うんだけど、やっぱり三人なりの好きな曲もあるし。そもそも俺は曲を作ってないからね(笑)。