『Awesome Talk -vol.1-』開催記念ミーティング(後編)
「盛り上がらないことも尊い気がする」Awesome City Club×髭×吉田ヨウヘイgroupが語る”ライブ中に感じること”
「適度に不安がないと嫌になっちゃう」(吉田)
――ここまで二人から須藤さんへの質問が続いていますが、須藤さんから二人に聴きたいことはありますか。
須藤:セットリストについてなんだけど、二人は決まってきちゃうタイプ? 例えば、30分を構成する7曲が「いつみてもその7曲」となるバンドなのか、「1曲目から新曲やれちゃうよ、ここであえて育てるよ」と言えるバンドなのか。
マツザカ:僕は波を作ってお客さんをコントロールしたいという欲求と、やりたい楽曲を出してあげたいという感情がケンカします(笑)。30分セットだと、どれをはずしたら良いかわからなくて、一緒になってしまう。ただ、今回の企画では、もう少し日の目を見ない曲をやりたいですね。
吉田:僕は結構、適度に不安がないと嫌になっちゃうんですよね。
須藤:あぁ、リスクを負いながらやる方ね(笑)。
吉田:新しい曲も、しばらくするとできるようになってくるじゃないですか。同じことは嫌じゃないんですけど、演奏に怖さがなくなると、流してプレイしてしまうような気もしてくるので、完成度に不安があったとしても新曲を入れてしまう。
須藤:でもお客さんは喜ぶよね。この間テレビで見たんだけど、Mr.Childrenって、ギターソロまで絶対音源通りにするらしいよ。「チョーキングまで一緒にしないと、あれだけの人を喜ばせられない」っていうのを聞いて、ああいうモンスターバンドが背負った宿命なんだと思ったし、かっこいいなとも感じたね。
マツザカ:でも、キャリアを積み重ねていって、代表曲みたいなものが出来たら、それをずっと続けなきゃいけないわけですよね。そこに曲の強度がついていかなかったらどうしようとも思います。
吉田:自分の中の曲の完成度より、お客さんの反応の方を気にするんですか?
マツザカ:今日、ライブをやっていて思ったんですけど、自分って、どうやらフィジカルな反応をお客さんに求めているみたいで。だからといって直接的に踊らせる曲はやりたくないんですけどね。
――クールにやるけど、熱狂してほしいと。
マツザカ:全員が同じ振付をしてくれ! みたいなのは無いんですけど、アッパーな感じとかビート感の強い曲をやっていたりするので、そこらへんには反応してほしい。一方で、盛り上がらないことも尊いような気がして。すごいアッパーであがってくれると嬉しいんですけど、「これは本当じゃない」みたいな。両方の自分たちを大事にしたいなと思ってます。
吉田:映像でみると、結構盛り上がっているライブだったのに、ステージにいる時は「盛り上がりが足りない」と感じている自分もいたりしますね。
須藤:ハードコアとかメロコアの人たちはわーってダイブとかしているけど、あれはひとつの様式美みたいなもので、普通は揺れながら心で泣いたりさ、気づいたら両腕に力が入っていたりするわけじゃない。でも、ライブに出る側の自分たちとしては「その盛り上がり方はやめてよ」と思ったりもする(笑)。