「宗像明将の現場批評〜Particular Sight Seeing」第11回 きのこ帝国『CITY GIRL CITY BOY』
きのこ帝国の“類型化できない”魅力とは? 赤坂BLITZワンマンライヴを分析
そしてきのこ帝国の名を一気にシーンに知らしめた「東京」は、ファンへの感謝の言葉とともに始まった。「この街の名は、東京」と歌われた瞬間、照明が会場を光で包み込む。2014年に、当初は5000枚限定の100円シングルとして発売されたこの楽曲は、きのこ帝国が外部へと一気に開放されたかのような楽曲だった。バンド名になぞらえれば、帝国が自らの手で国境の壁を壊したかのように。「歌」への衝動とバンド・サウンドがもっとも高い次元で融合した「東京」が、現時点における彼らのひとつの到達点であることは疑いようもない。
ライヴ本編は、美しいメロディーが佐藤とあーちゃんのヴォーカルによって彩られる「フェイクワールドワンダーランド」で幕を閉じた。アンコールは、メンバーがグッズのキャップをかぶって肩を組みながら再登場した後に「Telepathy/Overdrive」。
アンコールのMCでは、制作のために春まで3ヶ月ほどライヴ活動を休むことがアナウンスされた。この期間を経て届けられるきのこ帝国の新作はどのようなものだろうか。