きのこ帝国の“類型化できない”魅力とは? 赤坂BLITZワンマンライヴを分析

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(写真=Yuki Kawamoto)

 ベースラインがサウンドの前面に出た「あるゆえ」では、ドラムのキックが入る瞬間のタイトさにしびれた。そしてギターのあーちゃんはピアニカを弾く。メンバー4人がそれぞれに拮抗した演奏を聴かせた。

 MCでは、ファンから「みんなおかえりー」という声が起きた。そう、「CITY GIRL CITY BOY」は1月15日に大阪公演をしており、この日はきのこ帝国にとって2015年最初の東京でのライヴだった。「ここまでは新譜から、ここからは旧譜から」という主旨のMCの後に演奏された「風化する教室」はポップで、ファンがクラップもする。不穏さすら漂っていたそれまでの雰囲気とは対照的だった。「You outside my window」はさながらダンスロックで、ステージ上のいくつものミラーボールが回転した。疾走溢れる「国道スロープ」では、リズムのタメをきかせた演奏が心地良い。フロアは、ファンがクラップをしたり腕を振ったりと盛りあがりを見せていた。

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(写真=Yuki Kawamoto)

 「『フィッシュマンズの亡霊に惑わされ過ぎなんじゃないか?』って思ったり(笑)」。これは、佐藤があらかじめ決められた恋人たちへの池永正二とOTOTOYで対談したとき(http://ototoy.jp/feature/20141029)の発言だ。「パラノイドパレード」での佐藤の歌唱を聴きながら、「ラウドな演奏をバックにしたフィッシュマンズのようだ」と感じてしまった私は、まさにフィッシュマンズの亡霊に惑わされている人間なのだろう。世代なので許してほしい。一方でそこに、ポストロックやシューゲイザーといったジャンルでは類型化できない魅力を改めて感じたのも事実だ。

 「ユーリカ」「夜鷹」に続く「退屈しのぎ」で、ポケットの携帯電話が振動しているので着信かと確認したところ、それはステージからの音圧で震えていただけだった。ミディアム・ナンバーでの「夜が明けたら」ではエモーショナルな演奏を聴かせ、「疾走」「明日にはすべてが終わるとして」と続く。

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