Kis-My-Ft2、年始チャート1位のシングルに見る新機軸 45万枚突破の理由とは?

 今までの違いという意味では楽曲の方も新機軸を採り入れています。作詞の鈴木おさむ、作曲の多田慎也、ともにジャニーズではいくつか仕事をしているものの、両者ともKis-My-Ft2では初めての仕事になるんじゃないでしょうか。まあ鈴木おさむはともかくとしますが、多田慎也はジャニーズ系に限らずAKBグループやももクロなど女性アイドルに広く楽曲を提供しているヒットメーカーで、これがリスナーから受け入れられた結果の45万枚と考えることは、できなくはない。さらにアレンジを手がける鈴木雅也は前々作以来のシングル登板となるのですが、メロディアスな要素を立てつつドラマティックに仕立てるやり方は作曲の方向性とも合っている。単に「大人っぽい曲」というのではなくて、横ノリ感をしっかり出しているし、リードギターでちょいちょいオカズを載せていくのも手堅さを感じさせます。

 そんなわけでいろいろと細かな積極性の見られる作品なのですが、何と言っても積極的なのは、このシングルが過去作と比較しても非常に多い11種類のバリエーションでリリースされていることであり、通常盤は1月開催のイベントの参加応募券が付くという、今どき珍しくないAKB48やEXILEと同等のやり方を取っていることです。もちろんこれも最大限に功を奏して45万枚を達成したというのは誰が見ても明らかなわけで、この商品構成の変化についてKis-My-Ft2ファンが今後どのように判断するのか、その行く末は作品内容の変化以上に見どころと言っていいかと思います。

※記事初出時、情報に一部に誤りがございました。訂正してお詫び申し上げます。

■さやわか
ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』がある。Twitter

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