TRICERATOPSはなぜフレッシュなダンス・ロックを奏で続けられるのか?

 その後、6枚目のシングルとして発表した「FEVER」は、今や日本のダンス・ロック・クラシックとも言うべき楽曲だ。現在のライヴ・シーンで若いロックファンを踊らせている4つ打ちのリズムを最小限のバンド編成でとことんシンプルに実現しており、彼らがデビュー当初から標榜していたの“踊れるロック”は既にこの時点で高いクオリティで完成されている。3ピースのロックバンドといえばパンキッシュな8ビートを演奏するバンドやプレイヤーそれぞれの技巧を売りにするバンドが多かった中、彼等のようなシンプルな演奏でダンサンブルなロックを聴かせるバンドはあまり見当たらなかった。

 活動してきた15年以上の間、ミクスチャー・ロックやポスト・ロックの台頭、EDMブーム等さまざまな音楽シーンの変化を目の当たりにしながら、決して“シンプルなロックで踊らせること”をやめなかった彼等。それはマイケル・ジャクソンのマニアとしても知られる和田唱の体に染みついた横ノリのリズムがそうさせるのかもしれないし、時代の変化の中にあっても常にポジティヴに音楽を楽しむことを忘れないメンバー3人の姿勢が、リスナーを踊らせる音をチョイスさせているからなのかもしれない。だからこそどんなフェスのステージに上がり、どんなお客さんを前にしてもTRICERATOPSの音楽は受け入れられているし、ベテランとは思えない若々しいメンバー3人が放つ躍動感に溢れたサウンドはいつまでもフレッシュだ。彼等にはこれからも時代の変化に惑わされることのない踊れるロックを日本のライヴ・シーンの中で届け続けてほしい。

(文=岡本貴之)

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